グロテスクな日本の政治 ケータイ雑感

 使い回しの料亭

榊原烋一 【サカスト】
2008年5月13日(火)寄稿
5月14日アップ

船場吉兆高級料亭で鳴らしていた船場吉兆の料理使い回し事件にはほとほとあきれはてるばかりだ。この料亭は昨年もたしか産地偽装問題が発覚、一時営業停止にさせられていたはずで私の記憶によればその後会社再建法による営業再開をしたお店だと思うのだが。

あの時のテレビニュースでは大阪のお店の若社長が謝罪会見でモタモタしていると、隣のめがねのおばさんが耳もとで次の言葉を「あたまが真っ白になった、でしょ」なんて、本人は囁いているつもりが全部マイクを通して視聴者にまで聞こえてしまったから、しばらくは囁きおばさんなどと笑いのたねになっていたことがあったね。あれはあのおばさん自身が耳が遠くなっているのかもしれない。

どうもあの年輩であの手の眼鏡をかけた女性にはおかしな連中が多い。野球では野村監督の奥さん、芸能界では和泉元弥のママなどみんな同じ出しゃばりで一言もふた言も多いタイプだ。顔つきが似ていると性格も似るのだろうか。

それはともかく、今度の事件は少なくとも飲食店として絶対にやってはいけないもっとも恥ずかしい事件を起こしたことが問題だ。社長命令だったと言うが、前の客の手をつけなかった料理をまた次の客に出す、甚だしいのは前の客の残した刺身を新しく盛り付け直して次の客に出す、こんなことは普通の家庭の食事の時でも行儀が悪いこととされているほどの悪徳商法ではないか。

かわいそうなのはレポーターに囲まれて言い訳していた板長さん、ここの料亭では社長命令で余ったものはもったいないから使い回せと厳しく言われていたそうで、いやしくも料理人ならばやってはいけないことを承知のうえでやらされ、しかもレポーターには突っ込まれる。つるしあげているテレビ会社の面々だって立ち場を替えて自分の会社の社長から真実を曲げて報道しろと強く命令されたなら、良心にかけても絶対にやりませんと言いきれる人間がどれほどいることやら。

いずれにしても金のためならなんでもやります、という人間がどうしてこんなに増えて来たのか。

原因の一面には、見栄っ張りで世の中金さえあれば何でも出来るというお客の出現に罪があるのかもしれない。あるいは自分の懐は傷めずに他人の金で豪遊する小判鮫のような人種が増えてしまったことにあるのかもしれない。逆に言えば商売人にとってこんなにおいしい客はいないという世の中になってしまったということか。

消費者であるお客が実はお店を作るのだと私は考える。味にうるさいお客に褒めてもらうために料理人は腕を磨くから一流の板前さんが育って行く。反対に建物が豪華で場所もいい、そして料金が高いことだけが高級店だと考えて、その実本物の味も分らない客を相手にしているから船場吉兆の社長もあくどい金もうけを考えるようになってしまう。

昨年の事件のときもそうだった。産地偽装の品物を客に出したことが報道され、一時営業停止になったときも、再開するとお馴染みの客で満員です、などと例の囁きおばさんが笑顔でこたえる。高い金はらって偽もの掴まされてもこりないお客、こういう客がお店を堕落させてしまっている。

この事件ってひょっとして日本の選挙民と政治家の関係によく似ているんじゃないでしょうか。選挙民が自分の身近な世話ばかり焼いてくれる人間を便利だからと当選させる、だから当選すればその人だけの利益誘導ばかり考えて、国の将来なんか頭の端っこにもないような政治屋が増えてくる。

こんな選挙民ばかりしかいないと、そのうちに日本の国会も中国や韓国の残りものを二度揚げした使い回しを提供されても文句の言えないお国になってしまいますぞ。

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