暫定的っていつまでのことなの 今回の【サカスト】が最新です。

 グロテスクな日本の政治

榊原烋一 【サカスト】
2008年5月2日(金)寄稿

ガソリン騒動は実に不快だったここのところのガソリン騒動のていたらくはなんだ。迷惑したのは一般庶民と町なかのガソリンスタンドばかり。涼しい顔しているのが当の政治家たちだ。道路特定財源であるガソリン税や軽油引取税は前に述べたように暫定税だったから、民主党が参議院で審議ストップして期限切れに追い込んだ。

マスコミではガソリンが1リットル20円下がったとか30円安くなった所がある、などの報道ばかりでかでかと報じているから問題の本質はすっかりどこへやらだ。野党である民主党もその間ガソリン値下げ隊とかいう陣笠部隊を編制してもっぱらガソリンが安くなることばかりを宣伝していた。

対する自民党はと言えばこれも地方自治体の首長たちを動員して、ガソリン税が入らないと地方では道路が出来ないと泣き言を言わせつつ、未審議の期間をひき伸ばしてまたぞろ衆議院で再可決。ここでまたマスコミさんはガソリンがいくら上がったかでおお騒ぎ。再可決に当たって野党側は抵抗の姿だけは見せておかねばと、例によって体をはった議長登壇阻止の一幕で本会議には全員欠席戦術。

こんな姿を見て与党も野党も何が言いたいのか国民にはさっぱり見えない。とどのつまりは与党、野党ともに選挙さえ勝てればのジェスチュアに終止している姿しか見えて来ない。この際だからあえて野党である民主党に注文しておきたい。福田首相率いる自民党政権は世論調査での支持率なんと20%にまで落ちている。したがって今選挙を行なえば、うまくいったところで自民、公明合わせて過半数取れればいいところ。

反対に考えるならば、福田総理はそんな時期に解散、総選挙などばかなことはやるはずがない。事実年金問題から後期医療保険問題の失態などで山口2区での補欠選挙では自民党候補は惨敗だ。ということはこの際よほどの理由がないかぎり福田さんが解散総選挙の道をとるはずがないことは野党にだって分りきっているはず。それなのに暫定税率を廃止したあとの野党は今後へ向けていったいどんな具体策を考えているのか。

たとえば自民党はガソリンその他の暫定税が入らなければ地方自治体は2兆6千億の赤字になると具体的な数字をあげて騒いだのに、民主党はその穴埋めはこうしてやれば大丈夫という明瞭な案を示さずに終わってしまった。実は前回述べたように、地方だってなにも道路予算ばかりが欲しいわけではない。正直の所を言えば、道路が欲しいのではなく、道路工事をするお金が欲しいというところが多いのかもしれない。

けれども今、道路予算より福祉予算が欲しいのだとか教育予算が欲しいなどと余計なことを言えば、たちまち国交省やら道路族議員から来年の予算が削られてしまうことが分りきっているから暫定切捨て反対運動を演じさせられているだけだ。本当に地方の民意が何を求めているのかをまじめに考えている首長の姿などどこにもない。

こんなことは素人が考えたって分りきった話しであるのに、さて小沢民主党はこれらの問題になんら解決の具体策を示して来なかった。しかも4月末になれば参院未審議でもう一度衆議院で再可決するということも分りきっているのに動けなかった。ということはどこかで総理大臣の問責決議案を出せば内閣総辞職、あわよくば解散総選挙というチャンスをねらえるはずという古い政治屋体質がしみ込んでしまった議会戦術作戦しか頭にないからだ。

現在の自民党政治は、衆議院の絶対多数の上にたっているから攻めにくいことは理解できないでもないが、それにしても過半数を制している参議院でさえ論議らしい論議を国民の前に示してないのはまことに奇妙だ。年金未払い問題から始まって自衛艦事故にせよ後期高齢者医療保険制度にせよ、野党が真剣に具体的な対案を練って十分に論議をしていれば、それこそひと昔前なら少なくとも内閣改造かあるいは総退陣くらいの事件になるはずだ。

こんな姿を見ていると与党にせよ野党にせよ、議員にも定年制をもうけるか、あるいは立候補回数の制限でもしない限り、年輩政治屋は国会内部の旧いしきたりの中での駆け引きに忙殺され、そんな中で真剣に国家、国民の将来を考えた意見をもつ真の政治家たちは押しつぶされてしまうだろう。もう一つつけ加えておけば、議員は議会で国政の論議をした時間だけに報酬をはらう時給制にしてしまうことだって要求したくなってくる。

先日も新聞に報道されていたことだが、ヨーロッパの新聞の東京特派員がこの有り様を見て、「日本の政治はついにグロテスクになって来た」と報告していることを議員さんたちはどう考えているのだろう。と同時にこの特派員は「日本の有権者ほど忘れっぽい有権者もいない」とも言っているのだが。

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