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榊原烋一 【サカスト】 |
関東学院大学ラグビー部員が大麻を栽培し、それを吸引していたとの疑いで逮捕された。その結果この大学のラグビー部は来年3月まで対外試合を禁止することになったという。一人か二人の学生、生徒の暴力沙汰によって試合への出場が禁止されてしまうことは体育系クラブなどでよく見られることであり、一部の識者からは昔の軍隊にあった連帯責任を思わせられて、罪のない他の学生、生徒まで試合に出られなくなるというのは不合理だとの意見もある。
しかし今度の事件は外国での試合のついでに大麻の種子を持ち帰り、それを寮内で栽培し、12名もの部員が吸引していたというのだから同情の余地はない。いくら運動に明け暮れていたと言っても、大学生にもなって大麻が麻薬マリファナの原料であるためにその栽培も所持も禁止されていることぐらいは常識として知っていなければおかしい。
ただ若者の遊び心として、悪いと知りながらも法を犯すことに快感を覚えるその心情は分らないでもないが、おかしかったのは同ラグビー部監督の言である。この事件は最初は大麻を栽培していた2人の学生だけが検挙されたのだが、そのおりにこの監督はこれは個人の問題であってラグビー部全体が悪いのではない、と大見得を切ったのだ。実態が分ってみれば関係した学生は10名以上だったのだから、これは既にラグビー部全体の問題になってしまっていたのだ。
ここで【サカスト】が感じることは、この部の情報の流れの悪さということだ。つまり寮で共同生活を送っている者の中から逮捕者が出た、となればまず他にもかかわった者がいなかったかについて監督責任者はすぐに行動を起こすべきだったのではないか。同時に体育系に色濃くありがちな上意下達の機能だけを重んじて、下部の情報はまるっきり上がってこないという弊害がここにあったように思うのだ、だからトップは一見すると部下を厚く信頼する名指導者のように思われながら、実の所は裸の王様でしかなかったという悲劇が起こるのではないか。
これに類する事象は日本にはまだまだたくさん残っているように見える。戦後アジアではもっとも民主主義体制がしっかりと構築されていると自他共に許す日本ではあるが、世間に知られると具合の悪い内部の情報をその筋に通報しても通報者に不利益を与えてはいけないという法律が施行されたとたん、とりわけ食品業界から内部通報が目立つようになった。本来ならば、階級が上であろうが下であろうが、正しい意見であればそれがまっすぐに上下につながるような組織を作っておかないから、このような結果が起きてしまうのだ。
もっとも最近頻発した食品業界の不正事件は、幸いなことに食中毒やそれによる死者などが一人も出ていなかった。これを裏返してみれば、表示されている消費期限だの賞味期限の数字とはいったいなんの意味をもつものか、ということにもなってくる。私も一人身であるから買い物にも良く出かける。スーパーなどで見かける消費者、なかんずく食卓を預かっているだろう女性の購買スタイイルが余りに似ていることがおかしい。彼女らはほとんどが必要な品物の前に立つと、消費期限や賞味期限の数字を確かめる。場合によってはケースの奥のものから選んでいる。スーパーでは期限切れの近い物を前に並べるという言い伝えがあるかららしい。そうやって吟味したつもりでも、数字がデタラメだとしたらこれは無駄な努力をしていることになろう。
数字を信頼しているが品物の鮮度、品質、味覚などを知る感覚が欠如していればこれは業者の思うつぼだ。つまり、ここでも政府が定めた規則なら安心だという日本人の特性が残っているのかもしれない。かといって、政府のやっていることはすべて安心出来ないという世の中になっても困るのだが、現在の日本では政府のやっていることに大いに不安を感じながら、そんな役人や政治屋を喜んで担ぎ出し、その命令には諾々と従うという妙な民主主義が出来上がって来てしまったように感じられる。
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