マスコミさん、しっかりして 【岸コラ】に賛成

 増税を言う前に

榊原烋一 【サカスト】
2007年10月30日(火)寄稿

常に増税の標的になる消費税このところ政府税制調査会の方向がどうも増税路線へと舳先を転向 してきたようだ。政府税調のメンバーは民間の有識者が中心で、その事務局を財務省と総務省とが分担しているのだが、どうやら財務省主導の路線転換が行われているらしい。

小泉内閣時代の政府税調はもっぱら経済成長による税収増をねらった路線を敷いていたはずなのにここへ来ての路線変更にはいろいろな政治的思惑がからんでいるのだろう。もちろん現在の日本がかかえている借金は800兆円以上と言われているからこれを放置しておく訳には行かない。しかしその債務解消にも様々な方策がある。片方では経済成長に期待してその中で税収を増加させることで消して行こうとする方法もあるし、もう一方では増税によってこれをまかなおうとする方法もある。福田内閣はどうやら少しずつ後者の手段に移行して国民が気づいたときは大幅な増税が実行されてしまうような気がしてくる。

改革なくして成長なし、とは小泉さんが一貫して主張して来た所だが、その反動として格差社会の出現や地方財政の破たんなどが起こった、と非難する者も出て来た。そのせいで参院選挙での自民党敗退が起きたという説もあり、改革一本やりではまずいのではとの心配が自民党内にも漂ってきた。もともと財務省は早くこの大赤字を消して置かないと間もなく金利引き上げがやってきて、この膨大な債務の利払いだけでも大変なことになるから、早いとこ税金を上げて少しでも債務返済に当てようとする気持ちはよく分る。

自民党でも与謝野氏や谷垣氏などはもっぱら財務省べったりの見解にかねてから傾いていた。いずれそうならなくてはならないのなら早く増税路線を敷いてしまえという意味で理解出来なくもないが、私がどうしてもひっかるのは、国あるいは地方公共団体、そして政治家の皆さん方が果たして厳密に税金をムダなく使っている上での増税論なのかが極めて不透明なままこの論が勢いを増していることなのだ。

あちこちで税金が無駄に使われている現状を放置したまま増税に踏み切れば、ますます税金が安易に使われてしまう疑いをもつのは私だけではないはずだ。防衛省の事務次官が接待疑惑で国会に呼び出されている。ゴルフの接待だけでも200回を越えることを本人が認めながら、それによって受注に手心を加えたことは絶対にないともおっしゃる。業者がただでゴルフをさせたり飲食の接待をするなんてはずがないと思うのが常識だ。

前にも書いたが、防衛省の買い物となれば一つが100億を越えるようなしろものばかりなのだから、もしここで汚職が行われていれば、1件でさえ数億の税金が余分に支払われていることになる。それもたった一つの省庁だけのことでさえそうなのだ。社会保険庁が国民の積み立てた保険料の無駄遣いがおよそ6兆円に及ぶと言う。こんな調子で各省庁が無駄に使っている税金がいったいどのくらいあるのか。

地方自治体でも同様。畑のまん中に豪華な音楽ホールを建ててみても、呼ぶ演奏家もいなければ、呼んで来てもお客が来ない。それでもそこで働く従業員の給料は必要だし、電気代だって建物ばかりが豪華だからこれもばかにならない。今でも地方自治体がつくったいわゆる第3セクターの大部分は大赤字だ。これも税金で返済しなければならなくなっている。

いまのところ衆院選挙がいつくるか分らないから各政党とも表立って消費税の値上げは言い出しにくい。しかし本音のところはどの政党も喉から手が出るほど値上げしたくてうずうずしているはずだ。これほど取りやすくて公平に思える税金はないからだ。

ところがつい最近の新聞記事によれば厚生労働省の社会福祉業務報告の06年版の発表では、昨年度の生活保護受給所帯は1月平均107万所帯にのぼっている。また国税庁の民間給与実態調査も発表されたが、これによれば2006年に民間企業に1年を通して勤務したサラリーマンの所得は1998年以来9年間連続して減少しているという。企業のかなりは儲かっていると言うのにだ。

しかも年収1500万円以上の高所得者は全体の1.3%しかいないのに給与からの納税額は全体の25%を占めている。ということは高所得者が懸命に金を儲けて税金を払ってくれているように見えるが、実は彼等の所得にかかる税率は1983年以前は最高75%もかけられていたのが1999年以降は最高37%と半減されている。

この調査によれば給与収入1500万以上の高所得者層の平均税率は82年の平均が25%だったのに対して06年には18.4%に下がっている。これに対して年収500万以下の層はもともと税率が低いこともあって平均3.9%から2.8%に下がったに過ぎない。

そこへもってきて最近の物価の様相はTVとかパソコンのような電化製品の値下がりは急激で平均物価指数押し下げの要因となっているが、異常気象、原油価格上昇、バイオメタノール現象などなどの要因から日常必需品である、パン、マヨネーズ、トイレットペーパー、洗剤などから外食の焼肉あるいはハンバーガーなどの価格は今年9月になってから10%ないし物によれば50%も上昇している。

こんな現象の中で、消費税の一率引き上げをすれば【サカスト】でたびたびふれたようにまさに逆進性が増加する一方ではないか。増税にまつわるこのような問題点の数々を国民の前に透明性をもって説明を行わないうちに増税を許すことはできない。

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