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榊原烋一 【サカスト】 |
安倍改造内閣の顔ぶれが決まった。安倍総理になって僅か11ヶ月にしての内閣改造だ。第1次安倍内閣のようにお友達ごっこではすまされなくなったためか、今回はマスコミも余り関心を示さないほどの手堅さ、といえば聞こえがいいがどこにも目玉のない正直言えば八方美人内閣だ。
しかも鳴りもの入りで官邸主導型を目指したが悪評紛々だった5人の首相補佐官を今度は2人に減少、いったいこの総理はもともと何をお考えだったのでしょう、と問いたくなるようないい加減な人事ではないか。
第1次内閣では、それこそお爺さんの怨念をはらすとばかりに右寄りのお友達をそろえ、その必要性が国民から要望されていた訳でもないのに憲法改悪の布石とも言える国民投票法、そして別に法律が悪かったために起きて来た問題とも思えない教育の改革と称しての教育基本法の改悪など、自分の功績で多数をとった訳でもない衆院の多数を頼んで国民無視の法律をどんどんと成立させる。
さすがにこんな政府のあり方に危険を感じた国民が、ともかく参議院くらいは野党を応援しておかなければ自分の子供たちの時代にはこの国がどうなるか心配だとの良識を働かせたのが、この夏の参院選挙の結果だった、と私は考えている。
改造内閣で人心一新だなんてわめいてはいても、おん大将が変わらなければどうってことはない、ただこれまでみたいに雲の上のような抽象論を振り回している訳には行かなくなった。つまり総理が常に騒いでいた戦後レジームの決算どころじゃない、古い自民党体質ヘの回帰になってしまったというのが現実だろう。
さてこれからが国民のもっとも注意しなければならないところだ。選挙に勝った民主党の公約は税金は上げずに農家所得は上げようというもの、そして地方の一人区で惨敗を喫した自民党は、地方格差問題を解消しなければ次の総選挙はとても勝ち目がない、ましてこの際、増税なんてとても言い出す余裕なんかありゃしない、となると、いったい来年度の予算をどう作るというつもりなんだ。国の借金は既に840兆円に達してしまった。
かりに公定歩合が0.5%上がったとしてもこの借金の利息だけでも一気に40兆増えてしまう。そんな中で与、野党こぞってばらまき政策に走り出したらこの国はどうなってしまうのだろう。
増税がどうしても必要だと納得できる説明さえあれば消費税の増税だってやむを得ないと考えている国民は少なくないはずだ。ただし、税金とは国民の納得のいく形で制定されることが何よりも大切だ。国民から預かった税金を自分の懐へ入れてしまっていいという理屈はどこにもない。また逆進性の強い日用品の課税率にはそれなりの減税策を考える、そして使途を明らかにした目的税として、決して役人の飲み食いには使わせない。こういう覚悟をもって増税に踏み切るのならば【サカスト】だって反対はしない。けれども、その根本問題としての政府への信頼ができないうちは、増税なんてとんでもない話だ。
今回の内閣改造でまたぞろ政治家と役人との泥試合が出て来たのもまことに見苦しい限りだ。しかも格上げされたばかりの防衛省で起きたのだから情けなくて声も出せない。いったい日本のエリートとは何を目的に生きているのか、一人でもいいから小学生でも分るような生き方をしてみせて欲しいものだ。
どうも男勝りのタイプの女性政治家は役人と喧嘩するのがお好きと見える。逆に役人も自分の上に女性が来るのをいやがるのか、とにかくどっちもどっちと言うよりほかはない。こんなお役所がいざ鎌倉となったら国防を担保してくれるのか、それこそ怪しい限りだ。だから日本は2度と戦争はしてはいけない国なのだ、いや、できない国と考えた方がよいだろう。
防衛省と軍需産業との間にもキナクサイ臭いがただよいはじめて来た。そもそも日本の兵器産業とはまことに効率が悪い業種なのだ、とにかく顧客は日本の防衛省以外にはどこにもない商売なのだから。他国のように安かろう悪かろうでもかまわず堂々と他国に輸出できるのならば大量生産で単価を下げてももうけが出る。ところが日本の場合は武器の輸出は固く禁止されている。
戦車だって軍艦だって年間なん両とかなん隻という規模でしか作れないから、単価にすればえらい高い物につく。しかもお客さまは1軒に限られている、だからお得意筋の実力者をつかまえなければ商売にはならない、しかも相手はほとんど言い値で購入してくれる、となれば…。そろそろこの辺が臭ってくるわけだ。
話は関連して退任した女性防衛大臣、さすがに政界渡り鳥の異名を持つだけあって変わり身の早さは驚くべきものだ。もはや彼女は安倍さんにも見切りをつけたのか。彼女が近付きそして去った後の有力者の末路はみな哀れなものだった。細川さん、小澤さん(これはしぶとく帰り咲いたが今後はまだ不明)。となると、安倍さんは?
今回彼女は去るに当たって“I shall return!”と吠えた。これは私たち戦前の人間には忘れられない名台詞なんだ。戦争開始直後、破竹の勢いだった日本軍は当時フィリッピンにいたアメリカ軍司令官マッカーサーを追いだしてしまった。そのマッカーサーがフィリッピンに残した有名な台詞、これが“I shall return!”だった。そしてその台詞どおり、彼はついに日本を占領し、連合軍総司令官として日本に君臨したのだ。
では前防衛大臣はどこへ帰って来るのか、これも政界お楽しみ編のひとつになるだろうか。
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