棄権は危険だ 死刑廃止の立ち場から

続・従軍慰安婦問題

榊原烋一 【サカスト】
2007年6月30日(土)寄稿

【サカスト】 従軍慰安婦 2007年3月29日寄稿ここのところ従軍慰安婦問題がまたまた米国議会の問題になったことが報じられている。以前から少しずつではあったがアメリカ国内では第二次大戦時における日本軍の残虐行為や非人道的行為に対する非難が広がっていることは報じられていた。

アメリカという国もどうかと思える部分の多い国ではある。現に非人道行為ならばイラン戦争における捕虜の虐待問題などでは甚だしい国際法違反のあったことが報道されているし、事実、キューバにあるグアンタナモ収容所での人権無視の問題続発に手を焼いたアメリカ政府はとうとう収容所の撤廃まで考えざるを得なくなっている。

ということで自分のことは知らん顔でも他国の問題、とりわけ人権問題にはヒステリックに反応するアメリカではあるが、今回の従軍慰安婦に関する問題については日本側にも大きなミステイクがなかったわけではない。ことの起こりは、在米韓国人や在米中国人たちによるロビー活動が功を奏したのでは、と思えるが、戦後60年以上を経過している中での問題の再燃のようなことは、日本人の文化からは思いもよらない出来事の一つでもあろう。

この問題はすでにアメリカ上院では非難決議が採択されてしまったし、いずれは下院でも採択されそうな模様だが、今のところ日本政府は他国の議会の決議についてとやかくは言わないと静観を決め込んでいるが、下院でも採択となるとアメリカ国民の世論は圧倒的に影響されてしまうことが気掛かりな点である。この点、そこまで指をくわえて黙ってみていた日本の外交官のだらしなさにも憤激をおぼえる。いったい彼等は大金を使ってどんな仕事をしているのか、と。

そもそも第二次大戦中に日本軍による従軍慰安婦強制徴用は事実としてあったことは前にこの【サカスト】でも指摘したところである。また私たち世代の男は、既に日中戦争に従軍した軍人達が帰還して語った軍隊生活の実情や、戦場で目にした残虐な行動を実際に聞いて知っている世代なのだ。そこからは、戦争が起きてしまってからはだれにも止めることのできない、そして平和な世界に住む人々には到底理解ができないような残虐な行動が人間によって行われていたことも厳しい現実として知らされたのだ。

今度のアメリカ議会が態度を硬化させた原因のひとつが安倍首相のこのニュースに接しての対応のまずさ、もう一つが日本のどちらかと言えば右寄りの議員や学者が連名でワシントンポスト紙に掲載した投稿にあったと言われる。つまり種々の検討をした結果、従軍慰安婦の強制徴用に関して日本軍隊が公式に関与した事実はない、したがって当然謝罪する必要もないとした意見なのだ。

しかし、現実には日本の軍隊によってむりやりに従軍慰安婦として連行されたことを証言するご婦人は中国、韓国のみならずオーストラリアやインドネシアにまでも現存しているし、日本兵の語った談話からもその実態は疑うことはできない。

つまり、安倍首相や、日本を愛すると称する皆さんが言わんとするところは、そんな命令が軍の中枢部から発せられた事実がない、ということなのだろう。もちろんいくら戦時下であろうとも国際法に違反する命令を大本営とか軍令部などが正式に発令するようなバカなことはあるはずがない。とはいえ、現地の各部隊ではそのような命令が発せられていたことを知っている多くの日本人が現存していることも事実なのだ。

前線の各部隊が勝手に出した命令にまで国家は謝罪する必要はない、という意見も片方にはあるだろう。それならば今、国内で大問題になっている年金保険料の記載漏れ事件のために安倍首相が責任を感じてボーナスの一部を返上したのはなぜなのか。まさか安倍さんとは言わなくても歴代首相のだれかが手抜きをせよと命令した事実があったから現総理として責任を形に表したのだろうか。

そのようなことがあるはずはなくても、現場が無責任な行動をとったことについて、総理がその責任を形として表すのが正しいと言うのなら、出先の軍人が勝手に命令を下して人権を踏みにじった責任も国家にあると考えるのが当然ではないか。私は国を愛するがゆえに国の侵した犯罪も正視する立ち場に立っているのだ。

それと、この文の中で、戦後60年も経過したのに、と書いたのも、昔のことは水に流しましょう、といういい加減な日本の文化は世界のどこにも通用しない文化であることを再考したかったこと、また、退却を転進、敗戦を終戦、占領を進駐などと言い換えてあくまでも非は我にあらずとする言い逃れ的文化もこれまた世界のどこにも通用しない文化だということを、国を愛している日本人だからこそはっきりと表明しておきたいだけなのだ。

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