年金問題に隠された危険 続・従軍慰安婦問題

棄権は危険だ

榊原烋一 【サカスト】
2007年6月23日(土)寄稿
6月25日アップ

安倍総理年金問題はまだまだ納まりがつきそうもないのに、総理は参院選挙を延期してまで国会の会期延長を決定してしまった。このごろ安倍首相は口を開けば国民のためと言うが、彼が総理になってからむりやり国会を通した法律など別に国民がそれほど急いで立法してくれと願ったものなど一つもない。

憲法を変える前提としての国民投票法にしても、教育基本法の改訂にしても、いずれも識者がもう少し慎重に討議すべき点が多いと叫んでいたし、国民の多くも早急な変化なんて望んでんではいなかったのに遮二無二国会を通過させてしまう。

今回も天下り規制法案を是が非でも通そうと意地になっているようにしか見えないありさまで、ついに選挙の日程まで変更する。私自身、おえらい公務員が天下りして碌なことをしていない実情にはほとほと嫌気がさしてはいるが、これだって中央官庁の組織全体が抱えている大きな問題があればこその話しで、天下りだけを規制したってたいして効果はないはずだ。

総理がこれほどまで法案通過に夢中になっているのをみると、やはり総理自身自分の学歴に引け目があって、東大卒の多い高級官僚に権力で抵抗しているかの如く思えてしまう。しかも国会の会期延長とか参院選挙の投票日の変更となれば莫大な税金が浪費されてしまう。国民のためを常に思っておられると自ら任じている総理のやることとはどこかがずれているのでは、と言いたくなる。

まして安倍総理自身、実は国民の信任を得て総理になった訳ではないことも大きな問題だ。安倍内閣になってから以後、国民に大きな影響のある重要な法案があっさりと通過する、中には実質審議時間たった4時間などというお粗末な審議で法律が生まれてくる。この背景にはもちろん衆議院定数480人中自民党306名、それと与党である公明党31名を加えれば合計337名、実に衆議院では70%強という圧倒的な与党の数を持っているからにほかならない。

しかもこの数というものの大部分は2005年9月11日に行われた小泉前首相の手によって獲得したものなのだ。あの総選挙はいわゆる郵政解散選挙と呼ばれたように,選挙の争点を郵政民営化にしぼり、それを民意に問うた選挙だったのだ。あのときの小泉人気が圧倒的な自民党の勝利を呼び込んだのであって、国民は教育基本法の改訂をそのときに希望していたのではない。

民主主義は多数決が最終原理となる政治の手段の一つであるから、数が多ければそれを背景とした政党の政策はそのまま法律となってしまう。私自身この形態が政治手法としてはすぐれたものと認めてはいるのだが、2年前のあの選挙のとき、国民のだれが国民投票法のことをまで考えて選挙権を行使したと言うのか。しかも現在の自民党の議員の中には、当時郵政民営化に反対して除名になった者までが安倍氏の意見によって復帰している。

その後小泉さんは自分自身で勝手に期限をきって退任してしまい、自民党員だけによる総裁選挙によって安倍さんが選ばれたに過ぎないのだ。今国会に提出され、多数をもって通過させた法案というものは実は国民の望んだものとは言いがたいものが含まれている。まして当の自民党内部からも疑問をもたれているものすらある。イラク特別措置法の延長などもそれにあたる。こう考えてくるといよいよ今の日本は安倍独裁政権といった様相を見せて来たような感じさえしてしまう。

民主主義政治が多数決を原理とするのなら、一つの政党に圧倒的多数を許してはいけない。異なった意見が拮抗してそのどちらを選ぶことが国民にとっての幸せになるかを国民自身が投票という行動によって選択するのでなければ民主主義政治はその原点を失ってしまう。

参院選挙はついに夏休みまっただ中の7月末に延長された。旅行、帰省などいろいろの計画を既に決定してしまった人も多いことだろうが、期日前投票の制度も以前に比べて至極簡単なものになっている。年金誤記載問題だってまだまだ解決は先の話だ。みなさん、いずれにしても棄権は危険なことになりそうですぞ。

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