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榊原烋一 【サカスト】 |
六ヶ国協議は結局北朝鮮のかたくなな態度に押し切られて何の成果を得ることも出来なかった。今度の協議は議長国中国もオリンピックや万博という国際的な行事を間近に控えているだけに、なんとか有意義な結果を引き出そうと努力したようだが、結局強引な北朝鮮の交渉術に負けてしまったから、今後中国の北朝鮮に対する姿勢も少しは変わって行くのだろうか。
それにつけても拉致問題はますます解決が難しくなるばかりだ。拉致家族会の皆さんも懸命に帰国運動を続けておられるが、まだ当分時間がかかることになりそうだ。したがって今のところ【サカスト】としては国内で帰国を待ち続けておられるご家族の皆さん方がいつまでも健康で事件の解決まで見届けられるように祈るしかない。
しかし、拉致問題にかかわりのない他の国々は、正直のところ拉致よりも核問題の解決が重要な問題だということは致し方ないことで、北朝鮮が本当に核爆弾を保有しているとなれば、これが何処に流れてどんな使われ方をするかが大問題なのだ。もちろん直接そのターゲットになる日本にとってもこれはある意味では脅威でもあるが、前にも言ったように本当に核ミサイルをどこかの国に向けて発射してしまえば、それだけで世界を敵に回して戦う覚悟が必要だから、おいそれと実行に移せるはずもないだろう。
むしろ一番恐ろしいのは小型の核兵器や化学兵器があちこちに流出してテロリストたちがこれを入手することだ。かれらは自分の命を捨てることはなんとも思っていないのだから国家間の戦争よりもはるかに脅威になる。だから各国とも北朝鮮の核保有問題には真剣にならざるを得ない。
日本はこれまで北朝鮮に対しては一貫して対話と圧力方式で接している。しかし、今回の協議の失敗によって更に圧力を増して行く可能性が強まってくる。けれども日本一国だけの圧力ではかれらにとってはそれほどの痛手とはなるまい。他の4ヶ国がいっせいに圧力をかけてしまえばこれは北にとっても大きな圧力となるだろうし、場合によっては金政権崩壊の道につながるかもしれない。
日本では単純にそれでもよいではないかとの声も起きそうだが、北の崩壊という事態になることは大きな危険をはらんでいるだけに物事はそんなに単純ではない。まず第一に国境を接する中国、韓国、ロシアには膨大な数の難民が押し寄せる。もちろん日本にだってその影響がないとはいえないことは、かつてのベトナム戦争時代のボートピープルの例を考えればすぐに分ることだ。
特に韓国は同じ民族でもあり、かつての朝鮮戦争の結果として南北に別れた離散家族問題を抱えているだけに、日本がいくら圧力をかけろと尻を叩いたところで同じ立ち場に立ってくれる可能性は絶望的だ。だいたい南北統一などと北も南もスローガンとしては叫んではいるが、じっさいにその前に統一を果たした東西ドイツの現状を見れば、現実はそんなに甘いものでないことがすぐ分る。
合併当初は東西が一つになれたと大喜びをしたドイツ国民の現状はどうか。東側の経済的な弱さは西側の大きな厄介ものとなっているのだ。現在でも東西ドイツの一人当たり国民所得は4:1だという。だから西ドイツが稼いだ金は税金として東ドイツにばらまかなければやっていけない。
経済的格差がこれほど大きいから、西ドイツ市民はしだいに東ドイツ市民を差別する。あいつらは我々に負ぶさっているだけの脳なしだ、という意識が厳然として国民の間に形成されてしまった。そのために今度は東ドイツ側の市民はこの差別に対して猛烈な反抗が起きる。ネオナチの登場もこんな中からクローズアップされてくる。
こんな事実を考えれば南北朝鮮統一も国民の民族感情を高揚させるためには役立つのかもしれないが、現実には極めて困難だ。となれば今の北朝鮮を生かさず殺さずの状態でおくことしか考えられない。だから限度はあっても適当な救済措置を韓国、中国、そしてロシアが考えるのも当然のことだ。
話し変わってこれも最近終わったアジア大会。終わってみれば日本は開会前に目標としていた金メダル50個獲得をやっと果たして一応の成果を見ることができたのはおめでたい。競技開催中の日本の新聞は日本選手が金メダルを独占しているかのような報道ぶりだ。ところが国別の金だけの獲得数を見れば中国がだんトツだ。日本の3倍を上回る数を獲得している。人口の差を考えれば仕方ないと負け惜しみを書いた新聞もある。それならば韓国が日本より多い金メダルを獲得したのはどうしてか。韓国の人口は日本の半分以下だ。それなのに金は日本より多い。
するとまた言い訳だ、韓国は徴兵制度があって競技に勝つと徴兵免除になる。まるで日本でも徴兵制度を作ればスポーツが強くなるとでも言いたいような有り様だ。
これらの現象を見ているとなんだか日本という国は今でもアジアの盟主であるし、またそうでなければならないという意識が強すぎる。こんな意識があるうちは少なくてもアジア諸国と腹を割った交際などできるはずはない。経済的な援助は身の丈以上にがんばってやっているのにそれが一向に感謝されないという情けない立ち場におかれるのも最近流行の言葉を使えば「国家の品格」の問題なのかもしれない。
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