安倍内閣不信 その2 国家の品格

せこいにっぽん そんなにけちって 何処へ行く

榊原烋一 【サカスト】
2006年12月13日(水)寄稿
12月14日アップ

「せこい」という言葉を広辞苑で引いてみたら 1、(芸人の言葉。主に明治期に用いた)悪い。へたである。2、けちくさい、みみっちい。とあった。

本当に最近の日本の世相というか、社会現象のせこさは目を覆うほどだ。僅々数十日のあいだに三つの県の知事さんが談合疑惑で逮捕される。あわてて都道府県知事会では対策に乗り出したが、実情はおそらく他の府県でもあと何人かの首長さんたちは生きた心地もない状況でことの成りゆきを見つめているのではなかろうか。

さて、もっとせこい話は目黒区から始まった区会議員の政務調査費の使い道だ。これもいずれは日本全国つづうらうらに広がって行くと思われるが、そもそもは目黒区の行政オンブズマンが政務調査費の住民監査請求を出したことから始まったようだ。議員さんが住民の代表として議会において質問をするためには本来ならばかなり勉強をしなければならないだろうし、あるいはフィールドワークも必要となるはずだ。

そのために国をはじめ、都道府県、区市町村にいたるまで議員さん方に毎月10万から20万というお勉強代を支払っている。これが政務調査費というもので、まず目黒区のオンブズマンが情報公開制度を利用して、この使い道を調査した。その結果全体で595万円ほどの使途が本来の目的外に使われてたと言う。

このニュースが報道されたとたんに目黒区の公明党の議員さん6名は政務調査費の全額772万円を返上し、同時に議員辞職を申し出たと言う。これはこれで一つのけじめをつけたのか清廉潔白な党であるとのプロパガンダだか分らないが、何も必要な所で必要なお金を使ったのであれば返還する必要もなければ、まして辞職する必要もないと思うのだが。

しかも報道されたその使い道の大半が飲食費。中には自宅兼事務所の家賃だったり、自分の車の燃料費だったり、旅行のお土産代だったり、更に驚いたのは続いて発覚した品川区の議員さんのようキャバクラの領収書まで出るに及んではまさに開いた口が塞がらないと言う状態だ。まさかキャバクラのホステスをつかまえて景気は本当に回復したのかどうかを調査したのでもあるまいし。

少なくとも議員さんともなれば結構な歳費を戴いているのだろうから(夕張市とか過疎の町村議員さんはもらっていないのかも)自分の飲み食いの代金くらいは身銭を切って払うのが当然なことはだれだって承知のはず。少なくとも住民の税金から支出して恥ないなどという人間離れしたことはするはずがないと思うのが選挙民の浅はかさだったのかもしれない。そう言えば小泉総理時代、若いサラリーマンが郵政解散のおかげで国会議員になって大はしゃぎ、議員はこんなにお手当貰えるんだ、列車はすべてグリーンだなどとマスコミにしゃべったおかげで、最近は何をしているのだか姿が見えなくなった若者もいたな。

騒ぎが我が身に降り掛かる前にと荒川区では政務調査費を半額に引き下げる条例を可決したそうだ。この半額というところがまた議員の内輪争いを示すものとしてせこい限りだ。おそらくはそんなものやめてしまえと言う意見もあっただろう。あったとすれば共産党か公明党あたり、そして、そんなことすれば区民からもともと無くてもよかった費用だと疑われるから元通りにせよという意見、これはもちろん与党側。それを半額で話しを付けたというわけだろう。まさに足して2で割る日本独特の誇るべき伝統文化がここにも顔を出した訳だ。

さて区市町村議員は比較的身近な存在だ。文句があれば自分の町で直接文句も言える。だからこのような問題が起きれば議員さんも素直に反省の態度をあらわす。隣近所で悪い評判が立てば、次の落選は間違いないから。ところがこれが都道府県会議員となると話しは違ってくる。

彼等は国会議員ほどその言動はマスコミで騒がれない、といって区市町村の議員のように住民と顔なじみと言うほどでもない。この連中は政務調査費をどのように使っているのか。実はこれがほとんど分らないのだそうだ。なぜならばほとんどの道府県がこの使途を裏付ける領収書を取っていないか、あるいは取っていても非公開にしているのだそうだ。したがって何にいくら使っているかもほとんど知られていない。

議員さんの存在がこんな具合だから都道府県の知事になるとほとんど議会を気にせずやりたいことができてしまう。長野県の田中前知事なんかのように議会と大喧嘩してもやりたいことをやる知事さんなんてもう出て来そうにもない。もっとも個人的には私は田中さんのスタイルはあまり好きではないが。つまり、現代の日本には都道府県の存在がいったい必要なのか不必要なのか、国との二重行政となってむしろ行政の効率を阻害しているのではないかとの疑問も出てくる。だから道州制の議論も出て来るのだろう。

せこいと言えば、タウンミーティングのやらせ問題。これも小役人のせこさを余す所なく発揮したせこい問題の一つだが、これについては稿を改めてのちほどに。

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