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榊原烋一 【サカスト】 |
日本も核武器について討論する必要がある、自民党はタカ派の安倍首相には何もしゃべらせずに外務大臣、政調会長に核武装を論議する自由があるとたびたび発言させている。同時にこれは問題発言だという声も同じ政党から上がっている。
私は、それがたとえ建て前であろうとも非核3原則は固持するべきだと考える。もちろん、現実に日本は核を持たない、作らない、持ち込ませないとは言うものの、持つ意志はまったくないが、作る能力はある、持ち込みは仕方ない、の現状があることは国民すべてが本音のところでは知っていることなのだ。
国際社会も日本の技術的、経済的能力からして、核兵器を作る能力のあることは百も承知の事実だ。ただし、日本の憲法制度、そして国民世論がこれを押さえていることもすでに事実として当然のごとくに認められている。ところが北朝鮮問題がここまで日本国内でこじれている中で、政権中枢、あるいは与党幹部がこのような発言をちらつかせることで、日本の核武装について危惧を持つ国が少なからず出て来ている。
北朝鮮が核実験をしたことと、日本が核兵器で武装することと、どちらが世界に与える影響が大きいか、こんなことは当たり前すぎるほどの問題に決まっている。アメリカは現在イラク問題をかかえ、しかも中間選挙寸前だから東北アジア問題をこれ以上ひろげたくはない。だからあわてて次官級の人物を二人も日本に送り込み、北の問題で同一歩調をとることを確約せざるを得ない。
けれども実際に近隣国家である中国、韓国、特にロシアはこのような日米接近は面白くないに決まっている。最近の北洋におけるロシアの漁船拿捕が続くのも、ある種の牽制作戦と見られなくもない。
北朝鮮も実態として経済封鎖でかなりこたえているはず、したがって日、米、韓、中、ロの間を割くよう懸命なプロパガンダを行っている。たとえば日本はすべてにおいてアメリカの言いなりだから六か国協議に参加しなくてもよいなど。だが、これは日本の世論に逆効果を与えているようだ。
拉致家族問題の解決は安倍政権にとっての最大の問題だ。しかしいくら日本の国民世論が激しても人権無視の北朝鮮側から見ればはこの解決の道はまず困難だ。必要な人間だから拉致したので、おそらく重大な国家機密を握っているこの人たちを言論の自由な日本へ返す訳には行かない、少なくとも金将軍の体制が続く限り。そしてこの体制が万一崩れた場合もっとも迷惑を被る国々は、取りあえず現体制を維持させるためには国連決議を無視しても政治的、経済的な援助を続けて行くはずだ。
そんな中で日本の最近の傾向は政府も国民も政治的に強い立ち場をとることがベターだ、という傾向になって来ている。政治家は少しずつアドバルーンをあげて、国民、とりわけマスコミの反応を窺っている。その具体的な現れが今度の核問題論議にもなってくる。
太平洋戦争直前、それまで秘密主義、建て前主義の権化であった大日本帝国陸、海軍両省は、電撃作戦の成果を世界に発信し続けたドイツ情報宣伝部にならって大本営に情報部を作った。その代表的なものが戦争直前の情報部の発表した、われに機数4,000、艦艇500あり、の声明だった。このプロパガンダに日本国民は熱狂した。かくしてマスコミの力とともに真実の力を過信した日本は大戦争へと突入したのだった。
防衛庁を省へ昇格する、周辺事態法を拡大する、そんな中で核武装論議も自由だなどと政権中枢が発言すれば、日本はいよいよ自衛隊以上の軍備を持つ国になるのだ、という意志を世界に公言していると解釈されるのが当然だ。また、前首相の迷言としての自衛隊のいる所が非戦闘地域などという奇妙な論法が今後は国際的にもまったく通るはずがなくなる。
日本軍隊は世界平和のために血も汗も流せ、危険地帯には進んで出動しろ、との国際世論が動きだしたら日本人はどうしたらいいのか、この辺で頭を冷やして考えておくべきだろう。
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