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榊原烋一 【サカスト】 |
耐震偽装問題、昨日関係者の主な人間が逮捕された。夕方のニュースはこれで持ち切り。一番被害を受けた購入者は今後の成りゆきを固唾をのんで見守って行くことだろう。
もともと、耐震性が弱いのにあたかも建築規準を満たしたかのように偽って設計販売したかどうかが今回の逮捕劇の中心目的だ。テレビではみんな誰が責任かと大騒ぎ、警察は証拠がなければ法廷で裁判継続は難しい。そこで懸命に連中の弱味を探した。
もともと悪いこと(現在の日本ではアメリカと同じで良い、悪いは、法廷で決めてもらうことになっているからまだ悪いとは言い切れないけれど)をする人間は、警察が本気になって捜査すればどこかに犯罪の匂いのする所がある。昔から叩けば埃の出ない畳はないの諺があるがまさにその通りだ。
警察は徹底的に捜査した結果、商法違反、建築士法違反などいわゆる別件逮捕でまず身柄を確保したわけだ。もちろんこの段階まで来たということは裁判所が逮捕許可をしたからに外ならない。
さて、留置してしまえば検察、警察はかなり有利になる。密室の中で弁護士以外には滅多に接見を許されない場所で一対一で尋問されればよほどの確信犯でない限り自白させられてしまう。その中で商法、建築基準法、刑法の詐欺罪などのどれかの罪のうち、もっとも重い罪にできるのはどれか、また法廷維持にもっとも有効なのはどれかを捜査側は懸命に探りながら今回の逮捕に踏みきったのだろう。
しかし警察、検察がこれから証拠を探して裁判にかける、双方が控訴合戦をして最高裁判所まで行くのにこれから何年かかるのだろう。更に損害賠償の民事裁判をだまされて買ったと推定される被害者が起こしてもまた数年、結果として詐欺グループから取れるものは被害額に比べればほんの雀の涙ほどしかなかった、となれば購入者はどこへ文句を言えばいいのだろう。
ここでもし今後数十年間大地震がなかったとしたら、なんのために住民はこんな苦労をさせられたのだろうということになってしまわないか。こうなるとこの事件の真の意味はどこにあったのかが分らなくなってくる。
現在東京都心では超高層のアパート、それも高層階の住居が人気があるそうだ。私が考えれば、こちらの方が心配だ。もし、大地震が来て建物は安全だったけれども40階に住んでいて電気が停まったらどうなるんだろう。
水はおそらくタンクでしばらくは維持できるかもしれないが、エレベーターが動かなくなる。外へ出るのに一々階段を上り下りすることも予想しているのだろうか。食物の買い置きがなくなっても災害救助物資を40階まで運んでくれるボランティアがいてくれるのだろうか。火災が起きても全員が安全に救われるのだろうか。
つまり、このような高層ビルに住もうという人々はおそらく地震は来ないだろうとの前提で住んでいるはずだ。その反対に、今回の耐震偽装問題は根本は地震が起きたことを想定するから行政も住民もマスコミも騒いでいるだけに過ぎないのかも。
一生に一度の大きな買い物である住居を買った方々にとっては、耐震性能がごまかされていたという事実が暴露されたことは大問題だ。ただこれは大地震が来るという前提があってのことで、これからも数十年大地震が来ないとしたら、安い買い物をしたと喜べるかもしれないのだ。それでも危険と知った以上はそこには住みたくない人も多いだろうし、まして我慢して住んでいようとしても、行政によって転居を強制的にさせられた人々は誰を恨めばいいのだろう。
今回の事件では設計の手を抜いたこと、それを知りながら建築許可を下ろしたこと、更には瑕疵物件だということを知りながら販売した人、これらが悪であることは私だってもちろん同感である。しかしそれは近々の内に地震が必ず起きるという前提があればこその話である。残念ながら日本の地震予知の研究はそこまで達してはいない。
他方では地震など当分の間来るはずはない、と考えている人が大勢いるからこそ高層マンションも売れて行く。この辺の矛盾は姉歯逮捕で大騒ぎしているマスコミの皆さんの現在の視点には入っていないということだ。
言いたいことはたった一つ、人間はいくら知恵を絞ったところでその知恵の及ばないことのほうが自然界にはまだまだたくさんあるという事実、そしてマスコミが伝える情報はそのほんの一部でしかないということを知ったうえで、限られた情報をいろいろな視点から選別することこそあなた自身の責任になるということだ。
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