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榊原烋一 【サカスト】 |
これってやっぱりおかしいと思う事件が出て来た。今になって国民すべてではないけれどもこんな法律、何時できたの?という事件だ。
マスコミも慌てている、それは電気製品に関するPSEマークの問題だ。簡単に言えば今年4月からはこのマークがついていない家電製品は売ったり買ったり出来ないのだ。電気製品はもちろん感電事故で命にかかわることがある。したがって悪徳業者がいい加減な品物を作って売ること、これはあくまでも取り締まるべきだ。
ところがこれは法律になってしまっているらしい。らしいというのは、最近マスコミが取り上げているから想像しているのだ。もともと役所の規制というものは省令、政令の範囲になってから問題になるので、大もとの法律が国会で制定されれば、あとはそれには反しない範囲で役人どもが自分に都合がいい、とまでは言わなくても、自分たちに責任がかからぬ程度に文言を考えて省令や政令に仕立て上げる。その間議員たちは、私たちが立法したから国民の役に立った、これで次の選挙はなんとかなると知らぬ顔。
その中での最大の馬鹿、それはマスコミだ。どっかのおばあちゃんが電気製品の扱いを間違えて火事を起こして死者が出た。これもずーっと前に【サカスト】で言ったはずだが、火災の報道は死者が出なければまず報道しない。死者が出なくても放火だったらば必ず報道する、これは大切なことだ。しかし失火の場合にはたとえ死者がいた時でさえその原因は警察と消防で検討中とだけ報道する、そしてその結果が報道されたことは一度もない。なぜならばもはやそれはニュースではなくなってしまうからだ。本来ならば火災原因で一番多いはずの失火の原因こそ繰り返して報道すべきなのだ。
今回のPSEマークに対する報道姿勢も全く同様だ。ことの発端はいい加減な製品を買ったおかげで火災が起きた、それをマスコミが大報道した、予算が付くことならば何でも飛びつく中央官僚は早速お手盛り法案を作る、そして、別に政権にかかわることでもないからと議員達は内容を検討することもなく平気でその法律を通過させる。
法律さえ通過すれば、官僚は政府機関紙としてこれが唯一と自分たちだけで思っている広報紙「官報」に掲載する。かれらはこれで十分に法律は国民に周知されたと思い込んでいる。ところが実はこんな法律のあることは誰も知らなかったし、火を付けたマスコミ自身でさえ気付かなかった。
施行寸前になってびっくりしたのが関係業者、もちろん中古電化製品の扱い業者だ。それどころではない、防災なんかとは全く無縁だからこんな法律が出来たことすら予想もしていなかった中古電気楽器を扱う人々から文句が出て来た。これは当然で、これまでエレキやキーボードの中古品を触って死んだ人など世界中でもごく稀だ。マスコミも自分がまいた種がこんな所に影響が出るなんて想像もしていない、だからびっくりはしたけれども、今度は役所攻撃のおいしい餌として報道しはじめる。
もともと使用者の責任であった事故を大騒ぎしたのはマスコミだ。自分では正義の味方と思って災害を少なくしようとするその姿勢は悪くない。けれどもその影響がとんでもないところに飛び火をすると、またこれもマスコミにとってのおいしい種になって来るという図式だ。結局のところ、おいてけぼりを食っていたのは立法府でむだに税金を食っていた議員達で、こんな法律、俺たちが通したのかと思っている連中の方が多いはずだ。もちろんそんな議員を私たちが選んだという意識は有権者にもまったくない。
アメリカでは洗濯機で猫を洗ってそのために猫が死んだ、という愚かな婦人のために電気製品会社が裁判に負けて大きな賠償金を払わされた。ということから慌てて日本でも最近の家電製品の説明書では、まっ先にこんな使い方をしてはいけない、ということを書くのが当たり前になって来ている。
さすがに洗濯機で猫を洗ってはいけません、なんて愚かな説明はないけれども、悪臭がしたらすぐに電源を切って下さい、ていどの説明は殆どの電機製品の説明書には書いてある。しかし、電子楽器でPSEマークの付いていない製品は2006年4月からは売買できません、などの説明は見たこともない。
かくしてマスコミはまたまた大騒ぎをする、役人は周知度が足りなかったですね、と他人事のように言い訳をする、どうせそのうちには転勤になってしまうのだから。それですべてはおしまいだ。これが日本という国のしきたりなのだ。
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