続・皇位継承 どこかおかしいこの日本

再度天皇制の問題

榊原烋一 【サカスト】
2006年2月26日(日)寄稿

小泉さんの国会演説も今回が最後になりそうだ。もともと通常国会の施政方針演説などというものは、中央官庁の予算申請の総まとめを総理大臣なりの味付けをしてしゃべるだけだからそんなに驚くことは出て来ない。結論は改革を続行しろ、そのため行政改革はするけれども税金も上げよう、そして中央官僚は相変わらず現状維持で保身を図ろうとしていることも当然のこと。

などと言っている間に、野党も想像できないようなバカさを示してしまった。【岸コラ】が述べているように謀略に引っ掛かった永田氏は以前から「フライングの永田」と言われていたようにだまされる要素がいっぱいあった、これは出身大学の問題などではなく本人の性格以外の何ものでもない。こんな人物が出てくればマスコミは喜ぶだろうが、靖国参拝でいやがられても中国、韓国との友好は全うすると妙な論理で頑張る総理、これはもはやニュースにはならない。とにかくその基盤となる日本の国民がこの問題に対しての姿勢がまったくいい加減なのだから。

それよりも【サカスト】筆者が戦前の人間であるだけに、明治以来の天皇制国家(断っておくが2000年の昔からではない)が少しずつゆるぎ出していることの方が気になる。もちろん現天皇(昔はこれを今上天皇と呼んだ)に対する非難をしているわけではない。なぜならば現天皇は昭和天皇の苦難の道を子供のころからいやとうほど目の当たりにし、子供時代には疎開の経験もあり、戦後はプロテスタントの熱心な信者であるアメリカ人女性にアメリカ流民主主義を教え込まれた人間だからだ。

昭和天皇は本当に人間として苦難の道を歩まれた。若くして父君の病弱のために摂政の地位につかされ、第1次世界大戦に出会ってしまう。幸いに明治天皇時代に当時の日本にとっての大戦争、日清、日露戦争にかろうじて勝利し、またその後の世界大戦に当たっては勝利国側に立ったゆえにとりあえず無難な生活が送れた。

しかし、この大戦は世界史の上に大きな変化をもたらした。つまりヨーロッパ先進各国では、革命であるいは敗戦責任を負ってそれまでの王朝が次々と倒れていった。当時の風刺の言葉で、この世の中で王様と呼ばれるのはトランプとイギリスのキングしかいなくなる、と言われたほど。

明治政府によって祭り上げられた天皇制の恐ろしさを身をもって感じていたのはまさに昭和天皇であったはずだ。しかも彼はそのうちに軍部政治の操り人形として現人神(あらひとがみ)にまで祭りあげられてしまったのだ。

昭和天皇の立ち場は占領国アメリカにまで政治的に利用されるほどのものであったはずである。今のような平和な世の中に住む日本人には、広島、長崎に原子爆弾を落とされてもなお国民全員を特攻隊にしてでも1億玉砕と叫んでいた軍部の上に祭り上げられていた中で、日本の元首であり軍隊の最高責任者であった大元帥として、それよりも神様としての立ち場での苦渋の無条件降伏の道を選ぶ困難さは想像できるはずもないだろう。まして神国日本、敵に負けたこと無しと教え込まれていた日本の中で。

昭和天皇は大日本帝国憲法の定めの通り、自身は国家の一機関であるという立ち場を守り通した。その地位にあった中で僅かに2回だけ御自身の意志を表明したのが2.26事件後の反乱軍を逆賊と断じたのと、第2次大戦を終結した2回だけだった。その意志を戦勝国のもっとも中心であったアメリカに伝えたのが、戦時中を通じて10年の長きにわたって駐日大使であったグルー氏の進言であったことも今明らかにされつつある。

現在、皇室について日本人の考え方は様々だ。マスコミは飯の種になれば何でも報道する。私もこれまで自由に意見を【サカスト】で述べて来た。結論として天皇家は日本の将来にとって守るべき文化であると考えている。そして、その家系をだれが継ぐかということは天皇家自身、分かりやすく言うならば皇室の親族会議にゆだねるべきと思う。皇室典範は日本国憲法の下にある法規でしかない、つまり天皇は日本国統合の象徴である、という憲法のもとで、天皇の地位の継承は天皇家の親族の合議によって定めるというようにすることが私の主張なのだ。象徴であるならば日本国民が象徴を維持するための税金を負担することも当然だ。

生まれる子供が男か女かで家族の中でだけではなく国民すべてが大騒ぎするような立ち場に置かれることは人権上からも大きな問題となるはずだ。男性天皇だろうが女性天皇だろうがこのままのあり方の中では将来天皇家の配偶者となる人間が出て来るはずがない、つまり自然消滅になってしまうのが目に見えている。

最後に、憲法改正、教育基本法改正論者の多くは愛国心の明文規定を望んでいる。しかしオリンピックでたった1個のメダルを取っただけでマスコミがこれだけ長時間を報道する国に、だれも関心をもっていない法律の中に愛国心のありようなど記す必要は全くないはずだ。

【サカスト】の天皇制問題を最初から読む

この記事の読者数:



Copyright (C) Toru Kishida 2005 All Rights Reserved.