|
榊原烋一 【サカスト】 |
秋篠宮妃ご懐妊の報が流れて以来、政府もマスコミも少しずつではあるが妙にこの報道に対するトーンを落として来た。それは当然のことで、紀子様にお子さまが生まれるにしてもまだ男子がお生まれになるのか、女子がお生まれになるのかは不明だからである。かりに既に分っているとしても然るべき時期にしか発表はないだろう、なぜならば雅子妃のばあいも生まれる子が男か女かをめぐってマスコミが大騒ぎをし、それによって雅子妃の体調が崩れた前例がある。
生まれる子供の性別は、現在ではかなり早く確定できるようになった。しかし、一般の夫婦であっても、子供は産まれるまで性別を知らさないで欲しいと医師に依頼している夫婦は少なくない。つまり、生まれる子供の性別は神様だけが知っていれば良いので、いわゆる授かり物であるからには、男であろうが女であろうが自分の子として立派に育てる、そこに生まれる前から男か女かによって親の気持ちがぐらつくことをよしとしない風潮があるからだ。
しかしこれが一旦皇室の問題となればそうも行かない。小泉さんが皇室典範の改正を急いだことも、きわめて善意に解釈してみれば、皇太子家の現状からはいっときでも早くこの改正をしておかなければ、天皇家の将来が危ない、と考えたのかもしれない。また、紀子様のご懐妊によって一応この問題が沈静化したのも、出産するご本人に向って男ならこうだとか女だったらどうだ、と言うようなことを妊娠中から騒ぎ立てることは雅子様の二の舞いになることを恐れてかもしれない。
それはそれで良識とも言えようが、もし今度生まれる子が女子であれば再び皇室典範改正論議は起こって来るはずだ。ひょっとしてお子さまは男子だという確報があって、それをあえて秘匿しているならば今の報道沈静化の事情も分るのだが。
それよりも問題は【岸コラ】でも論じているように問題は雅子妃にある。こちらを早く考えるべきだ。現天皇も最近健康状態がおもわしくない、そこへ持って来て家庭に問題をかかえていらっしゃるのでは精神的にも苦痛であろう。万一天皇に何かが起きた場合には皇太子、雅子妃がそのまま次期天皇、皇后となってしまうのだ。それまでに雅子妃は持ち直せるのか。【岸コラ】ではここを突いている。
こんなことが重なって不明瞭な静けさが起きているようだがこれはいかにも日本的だ、とりあえず難しい問題は先送りしておこうと、今回の問題をこじらせてしまうと今後の日本人の皇室観を変ぼうさせる危険もあるというのに。既に若者の中には皇室不要論が出始めている。
最近、日本の知識人と称せられる連中の中に、この問題に端をを発してか、わが国伝統の文化や文明を見直すべきとの論が幅を利かせだして来た。そちら側の論旨の中心は、我が皇室は万世一系男系で続いて来たとする論である。これは世界にも稀な文化であって、これをこの御代で崩してしまうのか、これこそ日本の文化の粋ではないのかというように。
しかしこれもまた日本の皇室125代のうち、正妻から生まれた天皇はやっと半分しかいない、後の半分はすべて側室の子であるという事実もこれまた日本の文化なのだ。男系論者はここになると声が小さくなる。なぜならば今の世の中で男系を維持するためには天皇にだけは側室を、という説は絶対に叫べない現代日本の文化があることも彼等は十分に知っているからだ。長い文化を尊重せよと言うのならば当然側室制度も設けよとしなければ男系の維持など所詮不可能だろう。と言って一夫一婦制というキリスト教的文化がこれだけ国民に根付いている日本で、側室論を述べれば総すかんを食ってしまうことも容易に想像できる。これだって間違いなく日本の文化なのだ。
もともと現在の皇室なんてたかだか明治政府がでっち上げたもの、長い歴史の上で日本の皇室が実際に権力を持っていた時代などそんなにあったわけではないのだ。その中で側室に頼ってでも男系家族を維持して皇祖の祭祀を継いで来たに過ぎない。伊勢の宮司だって女性皇族が努めていた頃もある。だいたい天皇家の祖先天照大神は女性神だった。
竹村健一なる評論家は、日本の常識は世界の非常識などと外国の新聞の記事をふりかざして学者ヅラをしているくせに、この問題になるとまた外国新聞を持ち出して、日本の文化は極めてユニークである、だからこれをを尊重せよとなる。それならば皇室だろうが武士だろうが男の子を作るためには側室を何人でもおいていたという伝統日本文化こそユニークなのだからこれをどうすればいいと思っているのか。単なる物知りだけでこういう問題を片付けられはしないのだから。
この記事の読者数: