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榊原烋一 【サカスト】 |
「愛 地球博」の呼び声で始まった「愛知万博」も昨日で閉会だ。当初赤字になるかもという心配も、終わってみれば予想を遥かに上回る2,000万を越える入場者だった。黒字になった万博、とりあえずおめでとうを言いたい。
しかし私の近辺でこの万博を見に行った人は一人もいなかった。これは私が年よりだから足の弱って来た同世代が行かなかったのなら分るが、私の子供たち、またその孫たち、そしてその友人知人の誰もが行ってないという。日本の総人口はまだ1億人いるはず、そのうちの5分の1以上も観覧した計算なのに。
つまり、リピーターがとても多かったと言うことになる。東京ディズニーランドだって、これまでに何十遍も行った人間がいるのに、片方では東京に住んでいるくせにまだ一度も行ったことがないという人間も一杯いる。
おそらく会場そばに住んでいる方々が何回も訪れたからこの入場者数になったのだろう。今日の新聞によれば、全会期中有効な入場券が44万枚も売れたと言う。1回ずつ買えば4,600円かかるところ、この券ならば17,500円で期間中何回でも入場できたとある。かりにこれを買った一人が5回平均入場したとすれば、それだけで200万人を越えてしまう。5回以上行けば元が取れるのだからおそらくこの券を買った人々はもっと何日も出かけたはずだ。こういう券を買う人はそんなに遠くに住んでいるはずがない。今回の万博は愛知県を中心に世界のトヨタを軸として行われた。したがってトヨタ関係の人間はおそらく大動員されたことだろう。それがこの会を成功に導いた最大の原因だと思われる。
このことは日本の現在の姿を現わしていてある意味でいいことだった。大阪万博のときには会場が大混雑しただけでなく、当時開通したばかりの新幹線まで大混雑だった。混む所に行くのが嫌いな私は行く気も起きなかった。つまり日本全国から見物人が集まった。今回は交通機関の混雑は名古屋から会場への交通の問題だけだったらしい、それでも人気のあるパビリオンは4時間、5時間待ちもざらだったようだ。だからそれほどまでして遠くから見に行こうという人間は明らかに減少したのだろう、会場付近に宿泊までして入場しようという人がいたなどの報道も初めのうちだけで次第に騒がれなくなった。
こういう側面から見ると最近の日本人はあきらかにひと昔前の日本人とは変わった行動様式をとるようになったと思われる。つまりいくらお偉いさんが声をかけても、行きたくない所には行かない、マスコミがいくら騒いでもそれにのっかりもしない、こういう気風ができたのならこれも結構なことだ。
と同時に、世界中から出展者をつのってもそれほど大騒ぎをしなくなった日本の姿がある。大阪万博の目玉商品は月から持ち帰った石だった、これを見るためだけに大行列ができた。今回はシベリアの凍土から出たマンモスの頭、テレビで見た限りでは観客は動く歩道のような装置に乗って自然に流れるようにしてあったらしい。こんなところにもやはり工夫された跡がうかがえる。地球の環境問題や、次世代技術が実用化に近付いたこともこの博覧会での収穫だろう。
ところでまことに残念だったこと。それは次回の万博は中国、これも国の威信がかかっているから定めし大規模なものになることだろう。オリンピックと同様に、前回の開催国の式典には次回開催国の首脳クラスが訪問するのが普通なのに、今回の期間中には中国から幹部の訪問がなかった。このようなお祭りを利用しての首脳外交ができればそれが一番自然でよかったのに。これほど近いアジアの二つの国が、現在では疑心暗鬼の状態、せっかくの成功に陰を落とした出来事ではある。小泉さんもそろそろ靖国問題の解決に目を向けてはどうでしょうか。
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