国家主義は危ない

榊原烋一 【サカスト】
2005年9月17日(土)寄稿

【岸コラ】の言っている経団連会長のこと、以前から氷河期の生き残りのようなマンモス級のおっさん、ばかに自民党に肩入れしているなとは思っていた。傘下財界に企業献金を呼び掛けたりしていたし。というよりも、矢張り大企業は小泉改革を待ち望んでいるんだなと思わざるを得ない。たしかにいちいち規制だの、行政指導だので小姑的役人にああだこうだ言われるのは財界としては小憎らしく思っていただろうからね。

ただし前に言ったように肩入れし過ぎて小泉さんが暴走したとき、あるいは1年後、更なる保守的改革主義者が後継者となったとき、またまた日本はアジアを開放する使命があるのだ、なんて超国家主義者にお金払ってもらっては困る。ほどほどの愛国心は結構ですが、国家主義、民族主義は行き過ぎると危険だ。

今年は戦後60年、そして日露戦争100年の節目の年。これも前に書いたことがあったけれども、60年経ってしまえばあの太平洋戦争のことをまったく知らない若者だらけになっていても仕方がない。私たちが小学校の頃は考えてみれば日露戦争から既に50年は経過していた訳だ、しかし、勝利の歴史だったから学校でも教えるし、従軍したおじさんたちから手柄話は聞くし、で、小学生だって自国の歴史は知っていた。同時に日本軍の戦死者は約8万4千人、戦傷者約14万人もいたことも同じように聞かされていた。

横道にそれるが、最近読んだ横手慎二著「日露戦争史」(中公新書)によれば、日露戦争終結のための講和条約交渉中に、日本軍は樺太へ兵を送って結局南半分は日本領にしてしまったのだそうだが、こういうような都合の悪い歴史は教えてもらえなかった。この事実を知ってみると、第2次世界大戦の終結寸前に当時のソ連軍が満州になだれ込んだり千島列島を戦後占領した理由の一つには、これがあったのかという感がする。とにかく正常な愛国心は自国の歴史を正しく知ることによってのみ育てられる。客観的に科学的に良い点、悪い点を出来るだけ正確に知らせる努力を怠ってはいけない。

またまた話変わって総選挙で大敗北を喫した民主党、案の定後継代表選びでごたごたが起こっている。この原稿が【岸コラ】に乗る頃にはおそらく代表は決定していると思うが、また例の小沢さんが出るのでないのともめている。彼は今までどの政党にいてもごたごたを起こしては党籍を変わる人間だ。そのくせ自分から表に出ようとしない、これまではどこの党にも黒幕的存在があって、陰に隠れてリモコン操縦をする政治家は多かった。

しかし、マスコミやITの進歩はそういう存在を徹底的に暴露する方向へと進んでいる。今後の政党を代表する人間は、第一に容貌がテレビに露出されても大衆から好感をもたれること、次に弁説がさわやかで論旨が簡単明確なこと。こんな条件を考えると、民主党の小沢さんとか河村さんとかはまったく資格なし。せいぜい菅さん、前原さんあたりがやっとこだ。ただ、今後の民主党のあり方を聞かれて、代表候補が「戦う民主党」と叫んでいたのは情けなかった。あれじゃ今回かろうじて7議席(それも拾い物の1議席を加えて)の社民党、かつての最大野党社会党と何にも変わらない。

少なくとも政権政党を目指す野党なら与党と戦って反対ばかりしていては困るからだ。場合によっては与党と手を組んでさえ国益を考える野党でなければ今後も結局じり貧の道を辿る可能性が大きい。たがいに刺激しつつ、場合によれば協力しても国のあり方を真剣に考える姿勢をもつことが政権をゆだねられる野党というものだ。

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