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榊原烋一 【サカスト】 |
気になっていたことがやはり起こってしまった。以前【サカスト】でも触れておいたが、東京都が小・中学生対象の学力テストを実施し、その結果の平均点を区市町村別に順位をつけて発表したことだ。あのときにも学力テストを行うことはその結果の分析さえ慎重に行えば必ずしも悪ではないが、平均点を、しかも地域別に順位をつけて発表することには問題があると指摘しておいたはずだ。
あのときの平均点第一位は東京都全域の区市町村の中で、なんと小金井市だったのだ。これに続いて国分寺市、武蔵野市ときてその後に中野区だったか区部が入っていた。この辺はもう一度調べてみなければ確実なことは言えないが、こういう発表になんの意味があるか分らない。
さて、その際23区中21位だったのが葛飾区だったらしい。らしいというのもその結果を私が覚えていた訳ではないし、またこんなくだらない発表の仕方があるのかと憤慨していたから覚える気もなかったからだ。それをなぜ思い出したか。実は今年の夏休みも終わろうとする8月下旬のテレビニュース、そこで葛飾区の全中学校がが9月1日の始業式を繰り上げて8月29日の月曜日から2学期を開始するというではないか。
冬が長い地域では冬休みを長くとるかわりに夏休みを短くして8月20日あたりから2学期を始める例は昔から知っていた。日本の小中学校は1年間に35週間以上授業をすると定められているからだが、東京で2学期の始業を早めるとはこれまで聞いたことがない。表向きは生徒の学力低下を防ぐためと称しているが実情はどうもあの地域ごとの順位にあったらしい。その下にもあと2区あるのだが、授業の開始、終了の日を決めるのは各区に任されているのに、東京都内で他に2学期の開始を早めたという地域の話はまだ聞いてないが来年辺りにはそのような地域が増えてきそうな予感がする。ニュースではやはりこの順位が影響したと報じていたし、予想していたことがやはり起きてしまったかと暗澹とした気分にさせられてしまった。もっとももっと暗澹とした気になったのは休みを減らされた葛飾区の中学校に通っている生徒さんたちだっただろうが。
ここから先は想像になってしまうが、おそらく区議会議員あたりが教育長に質問をぶつけて、わが区の教育が振るわないのはなぜか、それをどう回復しようとおもっているのか等の質問をぶつけ、教育長が授業日数を増やしますなどと答弁したのではなかろうかと。
かつて文部省が全国学力テストを実施し、その結果を平均点として都道府県別に発表したところ、下位になった県では次年度のテストの際成績の振るわない生徒を全県的に欠席させて平均点を上げさせようとした事実がある。こんな経緯からこのテストも中断せざるを得なくなってしまった。文部科学省では来年度から再び全国的な学力調査をすると公表し、識者の中からは前回のような事態を招く恐れがあるから慎重にせよとの警告も出ているくらいだ。
最近の子どもたちの学力、もっと正確に言うならば計算能力とか読解能力はここ数年低下しているのは確かだ。しかしその理由はなかなか難しい。一つ言えるのは子どもたちが勉強しなくなったということだ。これは国際的な比較が客観的に示しているとおりで、家庭における学習時間の調査などでは先進諸国中で日本はかなり低い結果を示している。しかしなぜ少ないのかという理由はこの結果からは分らない。ある人はゆとり教育のせいだと言い、ある人は余計な教科があり過ぎるからだと言う、たしかに授業時数は世界的に見てももかなり減っているし、また教科の数は結構多くなっているのもこれまた客観的な事実だ。また今の子どもは勉強以外にすることが多くなって学校の学習の予習、復習など家庭でやる暇もなくなっているかもしれない、かといってそれが全てとも言えない。ただし、入学試験を行って入学させる私立学校と違って、公立の義務教育学校は地域によって平均点に大きな差が出るのはやむを得ないことなのだ。親の経済的な格差、教育に関する熱意の多少などは良きにつけ悪しきにつけ子どもの学習成績に影響することは間違いない。
であるからこそ地域別に平均点で順位をつけるのなら、何が学力に影響しているのか、そしてそれを解決するために行政はどのような努力をすべきなのか、このことを厳密に分析した結果とともに発表するのが科学的なやりかたなのに、そのような説明抜きでの新聞発表などするから意味のない競争を子どもに強いるだけになってしまう。今年の葛飾区はまさにその実態を示したものとなってしまった。
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