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榊原烋一 【サカスト】 |
民営化後のJRとしては最悪の事故が起きてしまった。被害に会った皆さん方、取り分け生命を亡くされた皆さん方とその関係者の方々には心からのお悔やみを申し上げたい。特に時間帯が通学時間になっていたためか、若者の命がこんな事故で奪われてしまったことは痛恨の極みである。
事故原因の特定にはまだまだ時間がかかると思うが、大勢はスピードの出し過ぎにある模様だ。電車の車両構造にも問題がないとは言えないが、その前の駅でオーバーランをしたために、運転士がわずか1分半ほどの遅れを取りかえそうとしたことが惨事の引き金になったことは認めていいだろう。
【岸コラ】でも触れていたが、もともと関西、近畿圏は昔から私鉄優位の地域だった。国鉄時代からこれに対抗しようと京都、大阪間に特急電車、それも戦前にまだ日本では珍しい流線形、ツートンカラーの電車を走らせて東京の鉄道フアンを悔しがらせた。国鉄が分割民営化され、JR西日本になってからはますますこの競争が激化され、顧客のニーズに合わせた快速電車を次々に投入、私鉄優位の伝統を巻返しにかかった。
報道によれば、運転時間の遅延は乗務員の勤務成績にもつながるとか、これもサービス競争の一環とも言えるだろうが、実は日本の鉄道が世界に誇れることはこれも戦前からの伝統で列車ダイヤの正確さにあった。したがって国鉄、私鉄を問わず鉄道とは時刻表の通りに運行するものという暗黙の了解が乗客にも乗務員にも双方にあった。
日本人がそれほどきちょうめんかと言えばそうとも思えない場面がいくらでもあるから、これは鉄道開設以来積み上げて来た伝統がそうさせているとしか考えられない。現在のような過密ダイヤでなかった時代でも、何かの理由で列車の発着が1分でも遅れると、運転士は必ず次の駅までにその遅れをばん回しようと努力する、当時も遅れを出すと昇進に差支えたのかどうかまでは知らないが、とにかくこれは鉄道マンの体質と言って良いのかもしれない。
当時もこんな笑い話があった。列車が定刻より2分遅れると、日本では終着駅までの間に必ず遅れを取り戻す、ところがドイツでは同じ場面では終着駅まで2分の遅れを守る、さてロシアでは予定された次の日の定刻につけば花火を上げて喜ぶ。ロシアと言えばシベリア鉄道で、これは1週間も走ってるのだから1日遅れたってどうってことないジョークだろうが、ドイツと日本とを比べればドイツの方が合理的かもしれない。つまり線路にしても車両にしてもそこにはいろいろな限界があるのだから、遅れたらスピードを上げて取り戻すのではなく、その遅れのまま走行するのが安全と言うことだろう。ダイヤが過密化する一方の日本では、30秒でも遅れては困る理由はあるだろうが。とは言ってもドイツでもつい先年、急行列車が脱線して橋桁に衝突した大事故があったから災難に会うこととは結局運命のいたずらとあきらめるほかないだろう。
ともあれ今回の事故はやはり人災というべきものだ。事故当日の夕方の記者会見でJR側が早ばやと線路に破砕痕があったと発表したときには、またまた責任回避、置き石事故と弁解したいのだろうとの意志がバレバレ。だって深夜、早朝ならばともかく、まだ通勤通学の時間帯、家にあった昨年の時刻表を見てもこの区間は電車が3分ないし5分間隔で運転している、そんな間に置き石するバカがいるはずがないことは素人が考えても分かること。
今度の事故でも、経営責任者達の事故処理のまずさが露呈してしまった、かれらはこれだけの大被害を起こしても頭の中は1日でも早く路線を復旧しないと1日当たりいくら売り上げが減る、そちらに目を奪われてしまってるに違いない。自然災害であれば周辺住民のため復旧を急ぐことは当然だろうが、責任が会社にあることがかなり明白な今回の事故では、被害者への対処、手を貸してくれた周辺住民へのお礼、その他有形無形の支援にどう応えるか、これを専門とする部署を至急立ち上げて対応しないと、あとあともっと大きな支出を迫られることは目に見えている。
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