不思議の国ニッポン

榊原烋一 【サカスト】
2005年4月9日(土)寄稿

郵政民営化も最後の攻防戦になって来た。しかしこれはあまりトップニュースにはならない、当然だね、だって自民党内のコップの中での嵐だから。しかしこうなると日本の政党政治も最後は自民党対自民党にしかならない感じだ。

最大野党の民主党もこの問題では支持母体の組合の反対があって煮え切らない、もちろん共産党、社会党は遠くからこわごわと成り行きいかんと遠巻きの姿。マスコミはすべて自民党内でだれが賛成でだれが反対か、これだけの報道。

つまり日本の現在には国をあげて大騒ぎする対立軸がないということだ。その中でこの郵政問題も最後は自民党内の権力争いに化してしまう。もちろん、ここで小泉さんが総辞職解散の道をとればまたマスコミはそれだけを追っかけるに決まっている。

しかも小泉さんも矢張り政治家、妥協に妥協を重ねるから、結局は道路公団と同様、改革したのかしなかったのか全く不明の結果になってしまう。そこへ行くと、国鉄改革、電々公社改革なんてすごかったね。その結果が今となってみれば民営化してよかったと国民の90%は考えているのだけれどね。

小泉さんのやっていることも結果が出ればそれなりの評価はされるはずだ、とにかく彼の出現以来、日本の公務員がやっとPublic servantであると気づかされて来たし、国民も間もなく改訂されそうな現行日本国憲法のもと、自分が主権者だと言うことになんとなく気づかされてきたのだから。ま、憲法は改訂されたってまさか首相が国家元首だなんて改訂も出来そうにないし、ましてや天皇を元首だなんていうことは絶対に合意は得られないだろう。

さて、そうなると日本の元首とはだれだろう。ここがまた日本の特殊たるゆえんだ。戦国時代に日本に渡来したイエズス会の宣教師が宣教に当たって一番困ったのがここだ。まず、宣教の許可はその地方をおさめる大名の許しを受ける、次に本当の実力者は織田氏、だからここのご機嫌も取る、けれどもそれだけですまない、なにか訳が分からないけれど、そして力があるのかないのか分からないが、とにかく京都へ。

徳川末期から明治維新にかけても、諸外国の外交官が一番困ったのがこの点だったようだ。将軍が支配者だと思って江戸と交渉する、しかし実権がまったくないような京都のミカドの了解がないと何ごとも進まない。いったいこの国の主権者、あるいは元首、さらに言うなら国民の生死に対して最終責任を持っているのはだれなのか。これがいっこうに理解できない国。

現在の政治情勢も全く同じだ。もし、外国記者団が日本の真実の情報を取りたいと思っても、自民党のどこへ行けば本当のことが分かるか、もちろん2大政党のもう一つの最大野党に聞いてもいつ政権がとれるか、これまた一向に不明。

もちろん天皇家は政治不介入、とはいうけれど一応ご挨拶はしておかないとことはうまく運ばなそうだ、しかたない。最後に役人が一番内部情報が分かるだろう、そしてそこへお伺いをたてる。ところがこの最後の砦も現在ではあまり役に立ちそうな情報は持っていない、いや、仮に持っていたとしても連中はマスコミに洩れて自身の将来に傷が付くことを極度に恐れて言わざる状態。これが不思議の国ニッポンの現状だ。

こんな政治状況の中で戦争にでもなってしまったら、国民の生命財産は誰が責任を持って守ってくれるんでしょうね。

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