捕虜虐待

連休の間にイラクの捕虜虐待問題が騒ぎになっている。もともと、捕まった人間が虐待されるのは、日本でも留置場に入れられたことがある人なら誰でも分かる。残念ながら私自身が入ったことはないけれど、もらい下げに行ったことはある。

南京虐殺もいまだに人数が多かったか少なかったかは問題になるけれど、虐殺があった事実はゆるがない。もともと戦争の実体とは、その国、民族が生きるか死ぬかの状態、でなければ、もっともっと領土が欲しいという人間の欲望からだけだ。そこに正義も大義もない。始まった以上は殺すか、殺されるかの二者択一を迫られる。南京問題にしても、当時、今で言うならゲリラ、当時の中国では便衣隊(便衣とは正規の軍服でなく普通の服装の意味だ)と呼ばれた中国兵が日本陸軍にとって一番手こずった相手だ。一般市民のように装った中国の兵隊が出没、知らぬうちに日本の兵士が殺される。そうなればその辺一帯のすべての市民を殺さなければならない。今のイラクのアメリカ兵も同様だ。

だから捕虜にすれば、痛めつけても恨みをはらし、情報を聞き出さねばと考えるのは当然。こんな酷いことはやらなかったかもしれないが、日米戦争中、日本にもアメリカの捕虜がたくさんいた。品川辺りで重労働をしていたアメリカ兵の姿を見た日本の婦人が一言、「おかわいそうに」。これがどっかの軍国婦人に聞かれた。翌日の新聞で「おかわいそうに」事件は全国に伝わった。いまの皆さんには想像がつくまいが、これが人道的と賞賛されたのではない、敵国の捕虜に同情するとは非国民だ、と非難されたのだ。ひょっとするとこれも当時の日本政府がアメリカ憎しとねつ造した記事であったかもしれない、しかし、あったことは事実。

さてイラクの捕虜虐待、この事実は間違いないだろう。そしてアメリカ国民のもっとも嫌うニュースだ。問題は日本と違うマスコミの姿勢。

同じことを日本の自衛隊が仮にでもやったとしたら、日本の新聞には絶対出るはずがない。アメリカでは国論を二分するような報道として出てくる。反戦、厭戦気分も盛り上がるかも知れない。それが日本のマスコミとアメリカのマスコミとの違い。まず報道したのがニューヨーカーという雑誌。更に生々しい写真掲載したのが、ロス タイムズ。

これはすべて民主党寄りの新聞。特に民主党の基盤ロスは、知事さんをシュワちゃんに取られてしまっただけに、大統領選挙を控えてこういう報道が出るということはアメリカでは当然だが日本人には想像できない出来事。

このへんがアメリカ嫌いの私にも納得の行くマスコミのあり方だ。そしてそのどちらを選ぶかを、国民が自由に選択できるうらやましさなのだ。とは言うものの、ブッシュの今後は難しくなるだろう。さかのぼればこの戦争とは何のためだったのかが改めて疑問になる。

2004年5月日寄稿

この記事の読者数: