春休み中、しかもこんな好い天気は滅多にない。急に思い立って、前から行ってみたいと思った国立歴史民族博物館まで出かけてみた。
これは千葉県佐倉にある。車で行ってもよい距離、しかしあえて電車で行ってみた。電車のよい所は、どんな人がどんなところで乗り降りしているのか、そして、それぞれがどんな生活をしているのかが分かる、なーんて大げさなことではなく、車中で本を読んでいられること。成田空港には車で何回も行ったのに、途中の佐倉は、昔、義民佐倉惣五郎のお話で聞いたことがあるのに、近くにありながら意外に訪れてない所なので電車で行くことにした。ついでに、新しくなった上野駅も見てみようと、上野から京成電車に乗る。上野駅がすっかり変わったのに驚きながら京成電車の駅へ。折よく特急発車寸前、これはノンストップで成田に行く電車ではなく、ところどころ停まりながら行く特急、したがって特急運賃不要だが座席は普通の電車。乗ること55分。
佐倉駅を出ると運よく目の前に博物館方面行きのバスがいた。時刻表を見るとすぐ出そうだ、案の定、2〜3分後に発車。幸先良しと喜んだが、二つ目が博物館前、あっというまに着いてしまった。帰りに歩いてみたら徒歩でもたった15分の距離。着いてすぐ案内板に従って歩く、ここは昔佐倉城だったというが、きれいな公園になっている。桜もまだ満開。だらだら坂を5分ほど歩くと、すばらしい大きな建物が目の前。
外側を眺めてから、さて入場料420円、これは老人割り引きではなく、個人ならすべて大人料金で均一。とにかくでかい。ゆっくり見れば1日はかかるだろう。もちろん大英博物館とかルーブルとは比べようはないが。この設計もうまく出来ていて、銀座のソニープラザとか、渋谷の東急ハンズのように、回遊式で次第に下に降りて行く感じ。今の時代の建築家の流行なのかと思いつつ、展示物を見る。
日本の4万年前からの歴史を示す展示物をつぶさに見て行くと、主な出品物は全部レプリカ。これにはちょっとがっかり。そうだと知られているためか、たまたま春休みで小中学生の見学がいなかったのか。とにかくがら空き。各展示室には制服を着たガードマンが手持ち無沙汰でつまらなそうな顔で立っている。中に人のよさそうなおじさんガードマンが、いらっしゃいませ、なんて言うから、こちらも恐縮してしまって、お世話になります、こんな雰囲気。お客と言っても私ひとりだけの展示場だらけなのだから。
ものすごく広い駐車場には観光バスが4台も停まってる。暇そうな運転手さんに聞いてみると、博物館へのお客ではなくて、城址公園の桜を見に来たんだそうだ。
初めて行ってこんな感想を書くと作った方には申し訳ないけれども、なんだかバブルの金あまり時代に、どっかの学者がこんな博物館を、と国に働きかけ、それを役人も予算稼ぎとばかり作った博物館としか思えないのが実感だ。たしかに博物館としてのコンセプトはある。けれど、建物の豪華さに比べると、中身がない。学問的にまとめるだけなら、大学図書館で済んでしまうほどのもの。それと、足場が悪い。首都圏とはいえ都心から1時間あまり、しかも周りに見どころも少ない。これでは恐らく大赤字だろう。
これと同じ体験が、3年前の沖縄であった。有名な平和の礎(いしじ)。ここには沖縄戦で亡くなった全ての島民の名前が彫ってある石の壁がある。これは感動的だったけれど、その背後に巨大な博物館のようなものが建てられていた。ここもガラガラ。見学者の私でさえ、これじゃ電気代もまかなえないのではと思う有り様。現地のタクシーの運ちゃんいわく、国の金ですからね。
歴史も大切、学問も大切、だけど客の誘致の努力をしなければ税金の無駄遣いになるだけでしょう。それぞれの館長さんはきっと天下りなんでしょうけれど。テコンドーなんてマイナーなスポーツでさえも、中でごたごたしたおかげで、テレビのトップニュースになってしまう世の中なのに、いいものだからいい、なんてどっかの党首だったおねえさんみたいな言い方はやめて欲しい。国民は入る人のいない博物館にだって税金払ってるんですからね。
2004年4月7日寄稿
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