火遁の術

一時、外国でも(と言っても日本人の言う外国人とはたいていがアメリカ人のこと、それもしかも白人系中心)有名だったニンジャ。知ってますか、伊賀流、甲賀流というあの忍者。この連中の使う術に、火遁(かとん)、水遁の術というのがある。(木、金などはない。念のため)

これは、相手の注意が向いていない所に火煙りをあげるとか、水しぶきをあげて、そちらに敵の注意を向けておいて、その間に事を運ぶというものだ。現在に置き換えるなら天功さんのマジックみたいなもの。彼女はこれを引っさげて将軍様からプレゼントまでもらって来た。さて、小泉総理の盟友、今はただのおっさんと、警察官僚の平沢議員(平沢の名前を聞くと私のようなおじいさんは帝国銀行事件の平沢さんを思い出す、これは結局迷宮のまま被告平沢さんは獄中で死んでしまった)とが、中国へ隠密裡に赴き、北朝鮮と話し合ったとのこと。隠密どころでなく、マスコミも大騒ぎ。

外務省は全然知らないと言う。官房長官も行方不明と発表。自民党の中からも、政府間交渉のはずだと怒りの声、被害者の会も激怒した。これだけ周囲をだまくらかして、本当は北朝鮮から俺たちの面子を立ててくれるなら、そして日本首脳も打開の一方策としてこれに乗ってみたとすれば、日本政府もくたびれますよね。田中均さん?だっけ、ミスターXととにかく首脳会談まで持って行った、これで拉致被害者を日本に帰した。将軍様も謝って、日本とうまく行くだろうと考えた。ところがこれが将軍様と同様、日本官僚の大誤算。すべからく国民には知らしむべからず、よらしむべしなんて昔の科挙の時代をいまだに信じている役人の中で、型破りと自認していた彼でさえも、民主主義が行き過ぎている日本のマスコミの網の手から逃れられるすべもなく、将軍様はもとより、味方となるべき役所からも見捨てられてしまう。

特に将軍様のお国では大騒動だ。せっかく将軍様のお出ましで友好関係を築く一歩と思っていた所が、日本に帰した拉致家族はそのまま日本に居続け、しかも日本の世論は圧倒的に北朝鮮憎しに傾いてしまった。これには外務省も打つ手がない、とにかく民主主義国家とは世論が第一、これを敵に回すわけには行かない。しかも国会ではこの世論を受けて経済封鎖論、入港禁止論まで法案化されようという状況だ。

日本政府としても難しい立ち場だ。まして、北朝鮮当事者とすれば、将軍様の面子を潰すわけにはいかない、さりとて経済封鎖は大問題だし、かといってミサイルの一発でも発射すればまさに壊滅状態となる。そうなれば隠密にどこかで日本の然るべき筋と話し合いをつけるしかない。日本だって話し合いがつくに越したことはない。だからこっそりと二人が派遣される。もちろん、こんなことはマスコミにもれるに決まっている。そこで二人を取りあえず悪者として、政府の知らない所でこそこそやって大迷惑だというふりをしてマスコミに書き立てさせる。これが火遁の術のつもりだった。

しかし最近の日本人はなんでも疑ってかかる美風?が身に染み込んでしまっているから、この火遁の術も次第に尻が割れそうだ。スポ新の一部では小泉さん承知の上、との報道が流れ出している。

いずれにせよ結果良ければ全て良し。とにかくめでたく終決を見ることを祈るばかりだ。

2004年4月5日寄稿

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