やってられないよ

中央線の踏切事故の話題がひとしきり騒がれた。東京都もJRも対策に大騒ぎをした。挙げ句の果てに、警察は朝のラッシュ時に全ての踏み切りで車両の通行禁止、それと踏み切りの両側に警察官を貼付けた。おかげでこの時間帯の数少ない立体交差の道路で、こっちが大渋滞を起こしている。けれど車の渋滞は日本ではニュースにならないから、どこも報道もしない。もともと東京には開かずの踏み切りなんてそれこそ数えきれないほどあるのだから。

結果として、新聞テレビだけ頼っていれば、一件落着かと思ってしまう。ところが昨日、沿線の小金井市でこの失態を招いた責任を東京都とJRに抗議をする決議を市議会で満場一致可決したとのことだ。

これってすごい変な出来事だ。そもそも三鷹、立川間の中央線を立体化して複々線にしてほしいとの要望は何十年も前から沿線の武蔵野市、三鷹市、小金井市、国分寺市、国立市と立川市の6自治体が連合して超党派で陳情を続けていた。当時の建設省の役人、JRの経営者は恐らく採算面もあってなかなか要求にこたえない。

数年前から事態は動きだし着工のめどが立った。もちろんJR側は工事に伴う沿線の土地の手当てなど少しずつ進めてはいたのだ。沿線自治体は大喜び、私の住む武蔵野市などは、武蔵境駅の改築に税金を使って駅舎設計のコンペまでやり、とてもおしゃれな駅の完成予想図を市報にのせるありさま。

ここに問題がある。中央線はかつて中野,三鷹間を高架複々線化工事をした。そのときの工事の進め方と今度のやり方はほとんど変わっていない。まず現存する線路を脇に移す、空いたところに高架を2本作る。できたら電車を上に走らせ続いて残る2本の高架の工事にかかる。だからそのときだって踏み切りは全部幅広くなっていた。

今と違うのはお年寄りの数が少なかったことぐらいで、車は既に飽和状態。でもだれも文句を言わなかった。少なくとも報道されるほどのものはなかった。つまり今回高架化を要望する自治体のほとんどは工事にかかればどういう状態が一時起きるかも当然知っていたはず。

JRが大失敗だったのは、切り替え時のばかなミス。これですべてJRが悪いのよという世論を作ってしまったこと。だが、踏み切りの問題は予想可能な問題、だとすれば沿線自治体はいいことばかり言ってないで、工事中にはこれこれの問題が起きると周知すべきだった。住民も常識で考えれば工事中は不便になることは明らか。事態が分かっているのに住民が騒ぐと抗議決議を出す議員の愚かさにはあきれてしまう。

問題先送り型の役人、責任転嫁主義の議会、そして権利主張だけの住民。こうなったら工事なんか引き受ける企業はなくなってしまうのでは。

2003年12月5日寄稿