道路公団問題も当分決着が付きそうにもない。岸田コラムがまじめに取り上げている裏で私ごとでは申し訳ない気がするが、お約束なので第3話まで続けさせていただく。
第2話は今から約30年前、教育委員会勤めの頃のこと。友人の家に遊びに行って、もちろん一杯やって、彼から私の知人が作っているある品物の注文を受けて代金4万なにがしを預かっての帰り道だ。時は真夏、半袖シャツだけの軽装だったから、預かった金は落とさぬようにズボンのお尻のポケットへ。
吉祥寺で電車を降りるともう9時頃なのにまだ蒸し暑い。何となくひと涼みと駅前パチンコ屋へノコノコと。ところがそういう時にはうまく行かないもので、ものの10分ほどで自分の金は小銭だけになり、涼しくなったのは財布の中身だけ。友人の預かり金に手を付けてはまずいと潔くあきらめて家路へ向かった。暑いので商店街を避け多少近道になる住宅街の道を選んだ。家まで7分くらいの薄暗い小路だ。
一つ目の四つ角に若い男が2人、タバコを吸っている。まったく無視して先を急ぐ。するとかなり先の二つ目の四つ角から、同じ年頃の男が2人こちらへ向かってくる。これも気にせず向かって行くと道の途中にも2人、さっき通り抜けた男も後ろからついてくる。おやっと思う瞬間、ぐるりと6人に取り囲まれてしまった。
「お兄さん」と中で一番背の高い男が声をかけて来た。「遊び過ぎて電車賃がなくなったんだ。貸してくれねーか。」 瞬間に体もすっかり涼しくなったが、そ知らぬ顔で「お兄さんとは喜ばせてくれるね。金がないのは相身互い、助けてやりたいんだけど俺も今パチンコですっかりすってしまった。小銭で悪いけどこれっきゃない。」とシャツの胸ポケットに残っていた400円ばかりの硬貨を全部その男の手のひらに押し込んで「じゃーな」とスタスタ。後も振り返らず急ぎ足で無事家に到着。預かり金ももちろん無事。
さて翌朝新聞を広げて驚いた。私の事件の20分くらい後らしい。同じところを通りかかった会社員がなぐられて、現金はおろか腕時計まで盗られ、おまけに全治2週間の怪我との記事が載っている。いやびっくりだ。ちょうど現場のあたりに私のホームドクターの開業医の家があってこの日も薬をもらいに行きながらこの話をした。するとそのお医者さんも「運がよかったな。でもあんたがそれっぱかりの金渡したから6人じゃ分け様がなく悔しがって次の会社員に当たったかもしれないぞ」
数日して我が家にお巡りさんが来た。聞き込みでその医者のところへ行ったとき、患者で一人やられたのがいると私のことをしゃべってしまったらしい。「たかが400円ばかりで届けるのも面倒くさいので。」弁解する私は、お巡りさんにさんざん説教されてしまった。
さて来週は最後ノックアウト強盗の巻。
2003年10月18日寄稿
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