青森明の星短期大学
現代コミュニケーション学科
専任講師 藤巻啓森
「西北大学の留学生の赤いブラジャー事件について」のことですが、じっくり読みました。感想とはいえないですが、自分の観点を少しお話したいと思います。
まず結論から言えば、この事件は日中両側とも責任があります。日本人留学生の責任は異文化に対する認識不足、反日デモを起こした中国人たちは、冷静にものを考えずに行動して事を大きくしたことです。
留学生の狙いは日中友好を表現したいということかもしれませんが、その表現の仕方、つまり日本国内の大学祭時のおふざけをそのまま隣国に持ちこむことは、反発を買う予測ができたはずです。女性の下着を身につけて踊る出し物に不快に感じるのは、なにも中国の人だけではなく、良識のある人ならだれでもそうだと思います。
ブラジャーをつけるにしても、股間に紙コップをつけるにしても、法律違反ではありませんが、ここで重要なのは場所です。中国では昔から性に対する反応はものすごく敏感で、公衆の面前で性について話したり、行動することは厳禁です。今でも性的な言葉を言うのは、教養のない人が罵るときだけです。回りの人に不快感を与えると、喧嘩のもとになります。つまり、中国では、喧嘩以外に性に関する言葉、またはその行動を聞いたり見ることはどんな場所でもないということです。友達同士でも禁句です。
日本では、中国と逆です。私が日本に十数年間住んだ経験では、日本人の性に対する感覚は軽く、タブーという印象もありません。日常会話でもよく耳にします。これは日本国内なら許されるかもしれませんが、外国に行っても同じようにするのはとんでもないことです。
一方、中国人は冷静にものを判断しない弱点があるのはいけないことだと思います。当事者に対する処罰は当然で、自業自得ですが、ほかの日本人に対して暴言、暴力を振るうのは、大人げないと思うしかありません。しかしその裏には、学生を利用する反体制のグループの存在があると思います。いろいろな口実を利用して、現在の政権を転覆しようとしているのです。
話は少し遠くなりますが、日中国交回復30年来、安穏な日々はほとんどなかったのが現実です。21世紀に入るといろんな部分でお互いに頼りあい、特に経済の面では両国は切っても切れない状態になっています。先日、日経新聞の「中国がくしゃみをすれば日本は風邪を引き」という記事を読みましたが、まさにその通りです。
日本国内では反中国の勢力が存在しているのは事実でしょう。公衆の場所でのあまり適当でない発言がしばしばあります。中国の「神舟5号」有人宇宙船の飛行成功に、国民が随分大きく祝っていることに対して、日本のある大物政治家は「中国人は無知だから、そんなことを喜んでいる。われわれはもし開発すれば、一年でできる」という発言をしていました。日本の技術は世界でトップだということを挙世に認められ、できないとはだれも言っていないのに、何でそんなに興奮するのか理解に苦しむところです。
さらに話は脱線しますが、今回の選挙に対する私の見解をちょっと。なぜ社会党は惨敗したのか、もちろん土井たか子の秘書が不祥事を起こして全体のイメージが悪くなったのは間違いありませんが、もう一つ原因があると思います。これはだれも気がつかなかったと思いますが、選挙の直前に日本のある政治家は中国の最も敏感な部分に触ってしまったのです。インドに亡命しているチベットの精神領袖ダライラマ14世を日本に招いたのです。どうしてこんな時に彼を呼ぶのか、これは中国政府の神経を尖らしたいからです。その目的は親中国派の社民党とか、仲良くしたばかりの共産党の票を落としたいという意図的な行動であります。つまり、社民党と共産党の票を落とすために、外部の勢力を借りたということです。
いずれにせよ、日本と中国の間に必ず断続的に何かが起きます。お互いに文化の違いとか、物の見方とか、そして価値観の違いにより、行き違いがあるからでしょう。中国の古い言葉に「性は相近き、習うは相遠し」というのがありますが、私は日本と中国は「居は相近き、心相遠し」といいたいところです。
2003年11月15日寄稿
岸田コラム「赤いブラジャーと紙コップ」
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