訂正記事

対象コラム:「イスラムのスカーフが見せるフランスの『自由』と日本の『自由』」2004年9月6日

訂正内容:

フランスは国籍の取得に関して「生地主義」をとっていると書いたが、スイス在住の永井さんから、生地主義はアングロサクソン系の伝統なので、フランスは生地主義をとっていないはずだとの指摘を受けた。(国籍は、日本やドイツのように親の血統に従って親と同じ国籍を取得する血統主義とアメリカやイギリスのように出生地の国の国籍を取らせる生地主義(出生地主義)がある)

フランスが生地主義であるとのソースは産経新聞のパリ市局長が書いた記事からだが、調べ直してみると、エンカルタ総合大百科の「国籍」項目では、フランスは「血統主義」と「出生地主義」の両者を折衷的に採用しているとある。

インターネットで検索をかけて調べてみると、原則は血統主義で生地主義の要素を加味しているというのが大方の記述だが、岩波の「世界」6月号にはフランスの政治学者がフランスは生地主義で労働力を受け入れているとの記述があるとの指摘もある。

こうなると、どっちなのかは、フランス大使館に聞くのが一番正しい。電話をしてみると、フランス人のビザセクション担当者は分からないとのこと(英語での会話)。専門の担当官がいるがフランス語しか話せないという。いくら取材は度胸と言ってもこの点に関してはことばが通じないと結論を得ることはできない。ア・ビアントだ。

他に問い合わせ先はないか考えるうちに、日仏会館を思いあて電話をしたが、あっさり分からないとの答え。日仏会館は両国の学術・文化の交流を目的に80年の実績があるのに、国籍問題は学術・文化とは無縁なのか。

ひょっとしたら、日本の外務省が把握しているかもしれないと電話をすると、西欧課の人がちょっとお待ちください、と言ってカシャカシャカシャと音がした。すごいね、さすが日本の外務省は、こういうのがデータベースになっているのだと思ったら、「お待たせしました。私共もインターネットでの情報しかないのですが、」。実に、正直。

せっかくだから、その答えは、「原則、血統主義のようですがが生地主義の要素も多分に含まれていて、それぞれの条件によって、いろいろのようです」。間違ってはいないがあってはいない。

私がソースとした産経新聞の記者に直接聞くことはできないかと電話したが、まだパリ勤務とのことだった。

結論としては、生地主義か血統主義かは現在までのところ結論付けられない。永井さんが指摘する生地主義はアングロサクソンの伝統という事は正しいと思うが、同時にECの統合でも中心的な役割を果たしたフランスが、移動の自由を主張しておきながら国籍は血統主義というのはどうも納得がいかない。

恐らく、自然な流れとしては血統主義だが、希望があれば生地主義も採用するというのが正しいのだろう。インターネット検索でミートした「レアリゼ」というサイトでは血統主義だが両親が外国人でも5年以上フランスに暮らした場合は国籍を申請することができ、間違えなく取得ができると書いている。信用できる記述だと思う。

いずれにしても、コラムに記載した「フランスは国籍の生地主義をとっているので、フランスで生まれた子供は文句なくフランス国籍を与えている」はその記述が行き過ぎているので訂正します。

2004年9月7日

岸田 徹