家庭内凶悪犯罪のとりこ 中国餃子バッシングの不思議

株安・円高・債券高が物語るもの

岸田 徹 【岸コラ】
2008年1月22日(火)

大きい表はクリック株安が止まらない。今日の市場が終わった直後のMSN産経ニュースでは、

米サブプライム住宅ローン問題による米金融機関などの損失拡大の見方が強まる中、米景気後退で世界経済をけん引するとみられてきた新興国経済にも悪影響が及ぶとの不安が広がり、投資家心理を冷やした。

さらに外国為替市場で円相場が1ドル=105円台に上昇し、一時は2年8カ月ぶりの高値となる場面もあり、国内の輸出関連企業の収益が悪化するとの観測から主力株が軒並み見送られた。市場1部の9割を超える銘柄が下落した。

と報じている。今日の日経平均株価はあっさり13,000円台を割り込み、昨日の下げ幅と合わせれば2日間で1割近くの1,288円下げた。

昨年の11月21日に15,000円台を割り込んだ時も、

米国のサブプライムローン問題に端を発した「負の連鎖」が止まらない。米国景気の先行き不安が、ドル売りによる急激な円高ドル安、原油などの商品相場の高騰、アジア株の下落を招き、日本経済を牽引(けんいん)する輸出企業の業績が悪化するとの懸念から日本株が売られるという構図だ。東京市場は「売りが売りを呼ぶ悪循環」に陥っており、先行き不安は一段と高まっている。

と報じられ(2007年11月22日付産経新聞)、ここのところ株価の下げはサブプライム問題が枕詞となっている。右上のグラフの通り、11月のあとは緑色の株価は一時持ち直すのだが、再び下落、年末に向かってもう一度戻そうとするが、持ち切れずに下落、年初を迎えたものの下落の傾向は一向に収まらない。とうとう2年4か月ぶりに13,000円を割り込んだ。

2年4か月前と言えば、あの小泉郵政解散があって、自民党が圧勝した時だ。あの時と今とを比べて、景気が良くなっているだろうか。あの時もこの時もたいして変わった感じはしない。その意味では、株価の下げは、今まで上がっていたほうが不思議で、あの当時に習ったと思えば当たり前ともいえる。

あたかも、株価の下げはサブプライム問題のように言われるが、いいかげんこの枕詞も引っ込めないとつじつまが合わなくなってきている。2年4か月前と比べて株価が上がり、再び下がった要因は、大きなお金を動かすブローカーのような資本家が株価を操作しているのではないかと私は疑っている。以下は、その理由だ。

その1――サブプライム問題は日本の金融機関に影響はないのに株価が下がるのは不思議だ。

日本の銀行や証券会社、信託銀行などが、庶民や企業から預かったお金を投資する場合は、安全性が重視されている。その理由は2つ、(1)証券投資に対するノウハウが欧米の金融機関に比べ少ない。(2)欧米の金融機関は株主への配当が頭から離れないが、日本の金融機関は企業は株主のものとは思っていない。その分株主が求めたがる短期利益へのプレッシャーがない。

サブプライム・ローンが単にアメリカの銀行の問題では終わらずに世界に広がった原因は、低所得者層に融資した住宅ローン債権を組み込んだ証券を世界中の金融機関が購入したためだ。返済されるかどうかわからないお金を証券にしても、日本ではまず売れない。売れたのは、短期の利益を求めた欧米。例えば、100万円の証券に信用不安があれば値が下がり、50万円になる。満期に100万円返れば、利回りは5割の高配当になる。こういう証券を組み込んだ「○×証券ファンド」なんていうファンドを売れば、利回り2割の商品も出来上がる。それがいざお金が返ってこないと分かった瞬間下落した。

日本の金融機関ではこういう怪しい証券は買わないので被害が少ない。だから、もしアメリカの株式市場がサブプライム問題で株価を下げるのなら、アメリカの株式投資の資金が、サブプライムの問題が少ない日本にやってきて日本の株価が上がって当然だということになる。ところが、日本の株価はアメリカの株価につられる形でどんどん下げている。

その2――日本が投資家から無視されたのなら、円高なのは不思議だ。

サブプライム問題と並行してよく言われるのが、日本の構造改革が進まず、投資家に嫌気がさしたというものだ。ちょうど、ねじれ国会が生まれ福田さんが首相になってから株価がずるずると下がっているので、改革ビジョンがはっきりしない日本に海外の投資家が嫌になって日本株を手放したという理由だ。

もしそうなら、株を売った資金が海外へ行くはずなのだが、その形跡が全くない。日本の株は円貨なので、もし海外へ持っていくのなら、ドルに換えていく。株を売ったお金をドルに換えようとすれば、日本の円は売られ、円安になるはずなのだが、株が下がってからは反対に円高に推移している。

円高が輸出企業を直撃し株価が下がるというのが言い尽くされている株価が下がる時の理由だが、トヨタも日産もホンダもソニーも今や国際企業だ。そう簡単に円高が企業の収益構造を壊すものではない。

その3――債権の利回りが下がっているのは、買われている証拠。

では、日本の株を売ったお金はどこへ行っているのか。恐らく、日本に残ったままだ。財務省は毎週のように国債を販売しているが、その中で中心的な指標となっている国債が10年国債だ。10年国債はほぼ毎月新規に発売している。今は1.5%で売りに出すのだが、これを買いたい人が入札することになる。買いたい人が多くなると、価格を高くして臨まないと落札できない。額面より高く買うと満期のときには損をするのだが、利息がつくのでその範囲で高く入札しても損はしないわけだ。そうやって国債を買うと、1.5%を割り込むことになる。最近は、その傾向が続いている。なぜそうなるのかというと、他の国債の売買状況から判断して、それでも得だと思っている人が多いからだ。

新規に発売される国債の利回りが株安になってから下がっているのだ。先の理屈から利回りが下がるということは、価格が上がっているということで、価格が上がるのは買い手が多いということだ。

つまり、株は下がっても円高で債券の利回りが下がっているということは、株を売った資金は海外へは行かずに日本の国債などの債券が買われているということになる。

マスコミが書き立てるような、サブプライムの影響でもなければ、円高を理由に輸出企業の株価が下げている訳でも、日本を嫌って資金が海外へ逃避している訳でもない。

2年4か月前は、その前月に外国人投資家の株が買い越しになった。売った株より買った株が1兆8,526億円多かった。月間としては過去最高の額を記録した。それから2年、日本の株価は4千円超上がった。約3割上がった訳だが、今後2年でさらに3割上げるには、日経平均株価を2万2千円ほどにしなくてはならない。いったい、2年でそんなに上がるだろうか。

もし、私が大金持ちで日本で株式投資をしていたら、サブプライム問題でアメリカが信用不安を起こし、日本で選挙の結果政情が不安定になったのをきっかけに、ちょいと株式市場から資金を引いて、株価を下げるよう誘導するに違いない。引いた資金は大量に発行される国債に身を隠し、株価が3、4割下げた後に再び国債を売って株式を買い込み値上がりを仕込む。

いくら、日本の改革が進まなくても、中国、ロシア、インドはもう既に発展過程に乗ってしまっているから株価の劇的な値上がりは見込めない。日本で再び儲けた方が安全だ。そう思っているブローカーのような資本家がいるとはマスコミはなかなか書けない。マスコミの一部もそのような資本家の影響下にあるかもしれないし、政治家も加担している人がいるかもしれない。

【岸コラ】が合わせた、株価と円と債権の指数の一致はそんなことを言いたげだ。

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グラフ出典:三菱東京UFJ銀行の「経済・産業レポートとマーケット情報」から毎週1回発行の「マーケットスコープ」より、株価が下がり始めた2007年10月26日から2008年1月18日までの「ドル/円」「新発10年国債利回り」「日経平均株価」の各数値を日足でエクセルに入力し、そのグラフをイラストレーターで合成したのが先頭のグラフだ。

参考資料:

上海株大幅続落、5カ月半ぶり安値・下げ幅は過去最大 [2008年1月22日 16:48 NIKKEI NET]

全銀協会長「景気の減速感続く」・サブプライム、市場に影響 [2008年1月22日 16:42 NIKKEI NET]

日経平均、終値752円安の1万2573円・2年4カ月ぶり安値 [2008年1月22日 15:36 NIKKEI NET]

東証終値752円安、1万2573円 世界同時株安止まらず[2008年1月22日 15:32 MSN産経ニュース]

首相「成長戦略、直ちに実行」・参院で代表質問 [2008年1月22日 12:20 NIKKEI NET]

株価低迷、負の連鎖 終値1万5000円割れ 円、原油高…広がる懸念 [2007年11月22日 産経新聞東京朝刊 経済面]

反落、1万2600円割る 株価は1万2533円89銭 [2005年9月9日読売新聞東京朝刊 商況B]

外国人投資家 株買い越し過去最高/8月 [2005年9月9日読売新聞東京朝刊 A経]

参考サイト:

国債の入札発行、入札結果・発行条件

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