浅野史郎氏は石原慎太郎氏に勝てるか。 ヒラリーかオバマか、日本では。

株が下がって見えてしまったもの

岸田 徹 【岸コラ】
2007年3月6日(火)

世界中の株が下がった。

日本は貿易立国なので安い原料を輸入し、それを加工して海外に売る商売をしている。そのため、円が安くなると株価が上がると一般に言われている。1ドルが100円より120円の方が商品を売った場合儲かるからだ。例えば、200万円の車をアメリカに売った場合、1ドルが100円ならその車は20,000ドルだ。これが1ドル120円になると16,666ドルになる。安くなるのでその分売れる。あるいは、人気の車で20,000ドルで十分売れるのなら、200万円の車が240万円で売れたことになる。

1台で40万円儲かるのだから、1ヶ月に5千台も売れば20億円。何にもしないで1ヶ月20億円儲かるなんて、円相場は自動車会社にとっては無視できない存在だ。それを投資家はちゃんと見ているから、円が安くなると、トヨタやホンダばかりでなく、日本を代表する企業のキャノンやソニーなどの電機株、ハイテク株が上がり、市場をリードしていくというのが筋書きだ。

一方、円相場と金利の関係では、金利が高いとその国にお金を持ち込めば多くの利息が付くので、円相場は上がると言われている。例えば、公定歩合を日銀が上げれば、日本にお金を持ち込んで銀行に預ければ、何にもしないで安全に利息が付くので、ドルを持っている人が円に換えて日本の銀行に預金をしようとする。日本の預金をするのでドルではダメだから円が買われ需要と供給の関係で円が高くなると言うのが理由だ。このため1ドル120円だったのが100円になったりする。

しかし、バブル崩壊後の株と円と金利の関係を見てみると(上のグラフを参照)、まったくそれらの法則が当てはまらない。バブル崩壊後の1991年以降株価は低迷し円相場は上がるが(折れ線グラフが下がる)、金利が上がっていない。また、1999年からは金利が下がり円が安くなっても株価は下がり続けた。

グラフをよく見ると、円と株の間に2つの違った傾向があることが分る。2001年を境にその違いが現れている。

2001年以前は、赤い円相場の線が下がれば、青い株価の棒グラフが伸びるし、赤い円相場の線が上がれば、青い株価の棒グラフが下がっていく。つまり、株価が上がれば円は上昇し、円が下落すれば株価が下がる現象だ。1994年に円は高値を示し、株価も高い。その現象が1999年にも現れている。

ところが、2001年以降は赤い円相場の線と青い株価の棒グラフの動きがほぼ一致するのだ。つまり、円相場が上がって株価が上がる2001年以前とはまったく正反対の現象が起きている。

これは、何を示しているのかを想像すると、次のようなことが考えられる。

2001年以前の現象は、外国資本が日本の株式相場で活躍し、円を買って株を買い、株を売ってはそのお金をドルにした。こうすることで、円が買われ円が上がると、株も買われるので株価が上がった。株価が上がると、値上がった分の利益を得るために株を売る。売ったお金は本国に戻るので円をドルに換えるので円が売られ、円が安くなる。同時に株も売られるから株価も下がる。

株価が下がると、安くなった株を買うために再び外資が入ってくる。日本の株を買うためにドルを円に換えるから円が高くなるし、そのお金で株を買うのだから株価も上がる。その繰り返しが2回ほど続いたことが山と谷の存在で分る。

それとは正反対の現象が2001年以降起こるわけだ。円が安いのに株価が上がる。つまり、外資が入って株価を上げたのではないことが想像できる。日本国内の資金が株式投資に回ったと考えられる。

これとは別に、金利と円相場に株価が連動する。つまり、ゼロ金利が続いている間、円相場はどんどん上がり(折れ線グラフは下がる)、金利が上がる傾向になると円相場が下がるのだ。円が上がると株価が下がり、円が下がると株価が上がる。株価と円の関係は、本来言われていた日本は貿易立国なので、円が下がると株価が上がる法則と一致する。2004年以降は特に顕著だ。

金利と円相場の関係は原則は金利が上がれば円は上がる関係だ。金利が低いと外資は寄り付かず円相場は下がり、金利が上がれば、外資が日本の預金を求めて円を買い円が上がるはず。ところがそれとは正反対の動きをしている。主客が逆転し、安い金利のお金を外国資本家が借り、そのお金を海外で運用していることが分る。日本の銀行でタダ同然のお金を借りる、そのお金は円なので外国で運用するためにドルに換える。だから、円が売られ円が下がるのだ。この現象が2004年以降明らかに見えてくる。

今回の株安は中国発信の世界同時株安だと言われている。中国株がここ1年で2倍以上急騰した反動で、経済指標も減速感を示し、人民元の変動幅が広がりそうだというのが株価急落の原因だとしている(日経新聞)。

しかし、それをそのまま鵜呑みにするわけにはいかない。世界同時株安と言うと、世界各地の市場が平均的に株価を下げている印象があるが、実際にはそんなことはない。市場の規模が全然違うからだ。

東京の株式市場は世界第2位の400兆円規模だ。世界一のニューヨーク市場はその約4倍もある。ロンドン市場は東京の約8割。一方、ドイツの市場は東京の約3分の1。中国の上海市場は東京の4分の1しかない。上海市場の事情だけで東京やニューヨークの市場を同時に陥れることはとてもできない。

株安の原因は上海ではなく、明らかに日本だ。日経新聞の見出しには躍らないが、記事の本文には解説されている円借り取引が大きな問題となっている。日本は長年にわたりゼロ金利政策を取った。安い金利の日本でお金を借り、そのお金をドルに換えたり、ユーロに換えたり、人民元に換えたりして投資をする。安い金利と言えば聞こえはいいが、ほぼタダみたいなものだ。日本からお金をタダ借りして海外で運用して儲けた分は自分の懐に入れて、次の投資先をまた探す。そんな許せない投資家が世界中にいるのだ。残念なことにその世界中に日本の投資家も入っている。

そんなお金が世界中を廻っているから、株価が上がり景気がよく見える。日本のゼロ金利政策で、日本で借りた円を外国通貨に換えるから、円がどんどん売れら需要と供給の関係で円が安くなる。外国通貨は世界の市場を上昇基調にした。だから株価が上がった。

これは、明らかにバブル現象。しかもタダ同然の資金をふんだんに使える特定の人だけが利益を得るバブル経済だ。景気が数字の上では上向き、東京だけが好景気なのはこのためだ。一般庶民はまったく関係のない世界で景気が過熱している。

それが見えてしまったので、日本の資金をつぎ込んだ上海市場の株式投資が一挙に引き上げられ、我先に日本の金融機関にお金を返そうとした。バブルが崩壊した後では、株価が下がり、借金だけが残ってしまうからだ。日本の金融機関に借金を返済するには円で返さなくてはならないので、円を買う人が多くなる。需要と供給の関係で円が高くなるのは当然。株を売って返すから株価が下がる。バブルを放っておくと日銀が責められるので金利が上がる。

こんな滅茶苦茶な出来事を特権階級の遊びごととしてすますわけにはいかない。なぜなら、これは泥棒行為だからだ。

日銀の低金利政策で、そのまま銀行に置いておいても金利が付かないと、積極的に株式や海外投信に向けられたものが確かに一部あっただろう。しかし、それ以外に日本の預貯金が原資となって貸し出された低金利の資金が投資に回ったものがきっとあるに違いない。

こういう仕組みはたまたまできてしまったのではなく、誰かが目論まないとできない。これは本当に許されない国家的犯罪だ。その犠牲は常に何も知らされない真面目な国民。金利が付かないお金がタダ同然で知らない人に借りられて儲けられてしまった。本来なら、それは金利が付いて預金者に還元されるべき金なのだ。つまり、預貯金をした人が受取るべき金が違う人に取られたも同然なのだ。

現在日本には個人の預貯金が400兆円ある。もし、この預貯金に5%の金利が付いたとしたら、20兆円のお金が金利として国民に行き渡る。20兆円を日本の総人口1億2千774万人で分けると、一人当たり15万6千円になる。3人家族で50万円ほどだ。年間これだけのお金を国民は受取れず、誰だか知らない人に儲けさせていたのだ。これが5年ほど続いていたことになる。5年で一軒当たり250万円取られ、特定の人に吸い上げられたら、格差社会が生まれるのは当然だ。

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参考サイト:

東京外為市場における取引状況

基準割引率および基準貸付利率(従来「公定歩合」として掲載されていたもの)の推移(単位:年%)

日経平均プロフィル

日本株式市場概覧

経済年表

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