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岸田 徹 【岸コラ】 |
住友銀行は、かつて「ケチ友」と言われた。収益に対して血眼になる銀行だからだ。銀行内ではどれだけ儲かるかを上下の区別なく必死になって議論し、一度決めたら上下関係で組織的に実行する。まるで、けんかをしているのではないかと思うほど怒鳴り合うことを躊躇しない職場だ。
仕事は家に持ち帰るのが常識で、朝も早くから出てくる。仕事一途だが、休日は仕事ができる人ほどよく遊ぶ。ゴルフ、テニスにマリンスポーツと実に積極的だ。収益にうるさい分、その配分もうるさく、給料がいい。職場の仲間と飲み食いする時は、必ず上司が自腹を切る。接待交際費に付け替えたり、福利厚生費を捻出したりというケチなことは一切やらない。よく働き、よく稼ぎ、思いっ切り使う、これが住友の文化だ。
この文化が、護送船団方式に慣れてしまっていた金融界には全く異質に映っていたのも事実で、陰で「ケチ友」と言われ、一緒に業界内の仕事をすることをどこの銀行も嫌った。
住友銀行と取引をするお客さんの中にも、取引を始めるころは何でもやってくれるが、一度具合が悪いと思うとさっと逃げられて、足元をすくわれるとの悪評がどんどんたち、住友アレルギーを感じる人が多い。
そんな評判がどことなくある住友銀行が、さくら銀行と合併になって三井住友銀行になった(2000年4月)。そして、つい先日、金融庁は独占禁止法で禁じられている「優越的な地位の乱用」をしたとのことで、一部業務停止処分をした。朝日新聞はこの事を金融庁が「収益優先で法令を軽視した三井住友銀行の営業手法に厳しい対応をとった形だ」と報じた(2006年4月28日)。
いったい何をやったのかと言うと、融資をする先に金利スワップなどの商品を抱き合わせて販売したというのだ。融資をするから、金利スワップという金融商品も一緒にやれと言ったわけで、融資をしてやるという「優位な立場」を利用してお客に別の商品を売ったというのがとがめられた理由だ。
朝日新聞は、次のようにこの記事を締めくくっている。「同行は、本部が法人営業部の業務計画をつくる際、前年度実績から機械的に収益目標を割り出して法人営業部に課していた。金利スワップは販売時に契約期間中に見込まれる収益を一括計上できるため、金融庁は需要が低迷する貸し出しを増やすよりも、金利スワップの押しつけ販売に走った、と見ている」(同)
三井住友銀行はこの一件で、奥頭取が頭を下げ「一日も早く失った信頼を回復したい」と述べた(4月28日読売)。その上で、役員報酬の30%カットを半年続けるつもりで現在検討中だ。さらに、この事件が起きた当時の頭取である日本郵政会社社長の西川善文前頭取と岡田前会長それに前2副頭取に対して退職金の一部返上や返還を求めていく方針を固めた。(5月11日読売)
なるほど、住友は収益のためには何でもし、その悪事がばれて、ついに経営陣が責任をとるまでになったのかと――絵に描いたような一件になっている。
ところが、この一件は実に不思議な部分があるのだ。つづく
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参考資料:
Microsoftエンカルタ総合大百科2006:「金融庁」
業務停止問題 三井住友銀、前頭取ら4人の責任追及 退職金一部返上など検討 [2006年5月11日読売新聞東京朝刊]
三井住友銀への行政処分 収益至上が原因 業績低下に直結も [2006年4月28日読売新聞東京朝刊]
参考サイト:
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