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岸田 徹 【岸コラ】 |
なんだか年中行事になってしまって、すっかり新鮮味がなくなった重大な問題が二つある。ひとつは郵政民営化。法案がいいの悪いのと言っている問題。もうひとつは、拉致問題。解決のためには核問題も包括的に解決しないといけないという北朝鮮の問題。
「郵政事業の民営化」と「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なし」はともに小泉首相のスローガンだ。それなのに、郵政民営化も拉致も問題になってから随分年月がたつのに、いまだに解決しない。ここのところスローガンもすっかり色あせた。難問だから解決に時間がかかるのなら仕方がないが、そうではないのだ。
郵政民営化は、国を改革するにあたって、財政投融資制度の改革は避けて通れない、財政投融資制度の財源が郵便貯金や簡易保険のお金でまかなわれているので、このお金の使い道を透明にするためには郵政事業を民営化するのが一番だというのが民営化する目的だった。
ところが、今もめているのは、民営化後の郵便局の設置基準であったり、郵政事業を4つに分けた後の、それぞれの会社の株式の持合をどうするかであったりするのだ。随分前からそんな問題を議論している。
そんなに問題にするのなら、民営化なんかしないで郵政公社のままでいればいいのだ。財政投融資制度は、別途その運用を透明にすればいいし、財投を当てにしない国家予算を組み立てれば済むことだ。
拉致問題は、拉致された日本人を無条件で全員返せというのが基本姿勢のはず。だから拉致問題の解決がされなければ国交だって結ばないと高々とスローガンを上げたのだ。
ところが、それが六カ国協議と核問題に結びつき、今では「包括的に解決」しなくてはならない問題になってしまった。命の危険にさらされている同朋を救わないで何が国家だ。どうしたら全員を取り返すか、二国間で話すべき問題だ。世界には悪者を裁く法律も警察も裁判所もないわけだから、取られたものは自力で取り戻さなくてはならない。
国家関係をどこの国が包括的に解決したというのか。拉致問題解決のために核の問題を利用するという事は考えられるが、拉致も核も同時に解決しようなんて、戦争で勝つしか方法がないだろう。どんな解決でも100%一方的な主張が通るなんていう事はない。つまり、包括的に日本が有利な解決方法なんてありえないのだ。
アメリカ頼みにすれば六カ国協議という路線が敷かれてしまうのは当り前。日本とアメリカとでは拉致問題の温度が違うからだ。六カ国で協議をすれば核問題は重要な問題として取り上げられてしまうのも当り前。そこに拉致問題も入れて包括的に問題を解決しましょうと言えば理知的に聞こえるが、問題を複雑にするだけのこと。
なんで、こんなことになってしまったのか。理由は、小泉首相の「自民党をぶっ壊す」にある。
小泉さんが言う自民党とは「田中派」の流れを汲む自民党のこと。自分の源流である福田派のことではない。いわゆる郵政族とは田中派で占められている。郵政民営化で最も打撃があるのは旧田中派(旧小渕派、旧橋本派)だ。小泉さんは、郵政の政−官のパイプを壊し旧田中派の息の根を止めようとしている節がある。
小泉さんが改革を旗印に首相になる前、旧田中派の橋本首相は行政改革を断行した。その際作った法律に「中央省庁等改革基本法」がある。その第33条には郵政事業を公社化するとし、そのために民営化の見直しはしないという条項が入っている。
この条項は、郵政事業は公社化して国が関与し民営化はしないと解釈できるものだ。橋本さんが郵政民営化の旗を揚げていた当時の小泉さんに対し、断固阻止の防波堤を作ったのだ。小泉さんは首相になってから、民営化の見直しはしないとの条項を削除するように時の片山総務大臣に指示をしている。ところが、この条項の解釈は公社化するまでは民営化しないというものになってしまった。公社化した後は民営化もOKだというのだ。法律に書いてある日本語が時の政府の解釈によって違ってくるなんていうことがあるんだろうか。
拉致問題では、小泉首相自ら訪朝して解決しようと試みたが成功していない。北朝鮮に影響力を及ぼせるのが中国だけだからだ。
その中国に太いパイプがあったのも旧田中派だ。田中角栄が電撃的に中国と国交を樹立してからの太いパイプだ。これが、今はまったく使えない。小泉さんが靖国神社に参拝に行くからだ。小泉さんは旧田中派がつくり上げた中国との友好関係が嫌いなのだ。だから、靖国に嫌がらせの参拝をする。
北朝鮮はそのことを知っているから、拉致問題を解決しなくても日本政府が非情なことはしないと踏んでいるに違いない。
崇高な政治活動はよってたかって潰されるが、どこかが憎いという活動には反対することなく活動に加わる人たちが政治家には多いということか。国民が小泉政権に期待を寄せたのは、そんな政治家の世界をこの人なら壊して、本当に日本にとって大切な政治をしてくれると思ったからだった。
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参考資料:
Microsoftエンカルタ総合大百科2005:「核実験」
参考サイト:
日本郵政公社民営化の検討と中央省庁等改革基本法との関係に関する質問主意書
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