「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と園遊会で天皇陛下に語ったのは東京都の教育委員である米長(よねなが)邦雄さんだ。
陛下が「やはり、強制になるということではないことが望ましいですね」と述べられたことで大きなニュースになった。そのやり取りはどんな感じだったのか、先ほどまでANNのニュースがインターネットに残っていたので見たが、私の印象では、陛下はあまり言いたくはないが、言わないといけないという感じで切り出されていた。
陛下がそうおっしゃるとすぐに米長さんは「はい、もう、その通りでございます。本当に素晴らしいお言葉をいただき、ありがとうございました」と陛下がもう少し何かおっしゃりたい感じのところを、俊敏にことばを返していた。
米長さんはご自身でホームページを開いているが、そこに日記が公開されている。今日の日記は前日28日の園遊会の様子だ。「全く思いもよらず、天皇皇后両陛下からお声をかけていただいた」とあるが、棋士である米長さんは将棋の話をし教育委員として労をねぎらってもらったとはあるが、国旗国歌の話は全く触れていない。
今日は、石原都知事の定例記者会見の日だった。午後3時から行なわれたが、石原さんは新潟の地震で東京都のレスキュー部隊が大活躍したことを皮切りに話し始めたが、自分から米長さんの話題には触れることはなかった。
記者からの質問も新潟の地震の件と三位一体の改革の件がされ、三番目に毎日新聞の記者がその件について質問した。石原さんは当然来る質問という反応で、やや先走った。記者の質問が終わる前に、「ああ、それね、閣僚がその件でいろいろ反応しているらしいが、文部大臣の意見はもっともだと思ったけど、法務大臣の意見はよく分からないねぇ」。
ご自身はどう考えるか聞かれると「そのときのニュアンスがどうだったのか分からないから答えようがない、ま、私も文部大臣と同じ意見で、国が決めたことをきちっとやっていくのは仕事として当たり前だと思う。はい、次」となった。
中山文部科学大臣の話というのは、東京都の教育委員会が国旗国歌の扱いで去年の秋に職務命令に従わない教職員を大量に処分したことについて「校長が学習指導要領に基づいて、法令の定めるところに従って、所属する教員に対して職務を命ずることは、当該教職員の思想信条の自由を侵すことにはならない」(朝日新聞)というもの。
南野法務大臣の話というのは、同処分について「おひとりおひとりの価値観。自主性にお任せしてもいいのではないか」(同)というもの。
お二人とも陛下のことばについては喜んで自発的に国旗を掲揚したり国歌を斉唱したりするのが望ましいと述べられたのだと思うと言っている。
もともと教育委員会というのは、第二次世界大戦の反省で教育が権力によって不当に支配されることがないように、教育の民主化と地方分権化、自主性を確立するために設けられた独立機関だ。そのため地域住民の直接選挙で委員が選ばれていたが、日本の中央集権体制に合わないことから、知事などが議会の同意を得て任命することになった(1956年から)。
つまり、米長さんは石原さんが選んだということだ。
他にはどんな人が東京都の教育委員かというとこんな人たちだ。全然知らない人ばかり。全部で6人だ。
委員長は、今月19日に変ったばかりの木村孟(つとむ)さん。東大の土木を出て東工大の学長になった人、イギリスから勲章をもらっている。他には、國分正明さん、文部省のエリート官僚だ。鳥海巖さん、丸紅の社長だったが現在は旧東京都庁の跡地に建てられた東京国際フォーラムを運営している(財)東京国際交流財団の経営顧問。内館牧子さん、ラジオ・テレビドラマの脚本家で国語審議会の委員にもなっている。それに林葉直子が弟子だという棋士の米長さん。事務局の教育長は横山洋吉さん、都庁の総務局長をやっていた地方官僚だ。
ま、それぞれ立派な方だが、いったいどうして選ばれたのかは分からない。とても開かれた教育委員会とは思えない。
今回の園遊会での天皇陛下の発言は、タカ派の石原さんに天皇陛下がもうちょっと国旗国歌については穏やかにやったらどうかと言われたようなもの。よくぞおっしゃってくれたと拍手喝采したいところだが、陛下の人柄に国家の行く末を託さなければならない日本というのは、土台がもろすぎる。もし、陛下が右翼がかった思想をもっていたらどうするのだ。日本は再び国家総動員でアメリカの極東部隊になってしまうぞ。え、もうなっているから、陛下が心配してこういう発言をなさったって? ううん、そうかも。
2004年10月29日(金)
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参考資料:
Microsoftエンカルタ総合大百科2005 「教育委員会」
参考サイト:
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