さあ、一万円札を並べるぞ。北海道の最東端にある根室半島から青函トンネルを通って本州に入り東京を通過して富士山を右手に関門トンネルを目指し九州に入ったら最南端の鹿児島県は奄美大島まで、一万円札を並べる。並べ方は縦でも横でもない。景気よくお札を立たせてギュッと圧縮して並べるのだ。
この額が今の日本の国債残高だ。だいたい483兆円ほどある。どうしてこんなに莫大な借金をしてしまったのかというと、国の税収が年間45兆円しかないのに、64兆円ものお金を使うから足りない分を借金し続けたのだ。あっという間に借金漬けになってしまった。どれだけ借金苦かは、家計財政に照らし合わせてみるとよく分かる。
月に54万円もの収入がある家計だ。
月収 (1) 54万円ローン返済金 (2) 21万円使えるお金 (1) - (2) 33万円家計費 56万円田舎への仕送り 20万円不足金=サラ金借入れ 43万円ローン残高 6,800万円
月給が54万円もあるのにサラ金から毎月43万円借りないとやっていけない家計なんて誰が見てもおかしい。それに田舎への仕送りが多すぎる。ローンの返済をしているんだから家計費ももっと見直すべきだ。飲み食いしすぎじゃないのか、あるいはギャンブル癖でもあるのか。いったい何に使っているのか。
その答えは意外や意外。56万円の家計費に相当する国家財政の一般歳出額は約48兆円。その内訳は、社会保障費20兆円、公共事業費8兆円、文教科学振興費6兆円、防衛費5兆円、経費5兆円、恩給1兆円、その他3兆円だ。
家計費の4割以上を社会保障費に当てているのだ。社会保障費って言われると何を想像しますか。多分、生活保護の必要な人へのお金とか、障害のある方への手当てとか老人ホームの運営費や、救急医療のお金とか。
もちろん、20兆円の中にはそういうお金も入っている。でも、少ない。生活保護のためのお金は2兆円もないし、身障者や老人のための費用も2兆円ない。衛生対策費も1兆円ない。じゃ、何に使っているのか。
これが、医療費や年金を払うために15兆円以上使っているのですよ。「ええっ!」って思うでしょ。だって、年金だって健康保険料だってちゃんと別に払っているのに。そう、足りなくてさらに税金で払っているのです。それが国の予算の3割以上を占めている(注)。道路は1.8兆円、住宅整備も1.7兆円の予算。下水道やゴミ処理公園などの整備費は1.3兆円、台風のたびに被害が出る対策費は1.1兆円、森林保護は0.4兆円。これらと比べると医療費と年金の負担が比較にならないほど大きい。少子高齢化でこの割合はどんどん多くなる。
だから、年金改革では自民党や公明党が持続ある制度とかを言い出して給付を少なくしようとした。また、民主党はこういう分は消費税で別途取るべきだと主張した。どちらになっても、今も税金で払っているのだから国民負担は変らない。
上記の家計例で「ローンの返済金」とあるのは国債の満期や利息の支払いに必要なお金だ。それが18兆円ばかりある。サラ金からの借入れは新規の国債発行のことで37兆円。つまり国債が満期になって返すために18兆円必要な訳だが、その分も含めて37兆円また国が借金をするわけだ。「田舎への仕送り」は地方交付税の16兆円。こんなに送っているのに田舎では独自に借金している。その残高は170兆円。これは国債以外にあるから、本当の国の借金は483兆円じゃなくて現在では700兆円を超えている。
小泉さんは就任当時国債の発行枠は30兆円だと公約したが、たいした公約じゃないとひるがえし、37兆円近くの年間借金になってしまった。30兆円の国債では18兆円は何もしなくても国債の返済に使ってしまう訳だから残りが12兆円しかなくなる。これでは、景気回復に有効な手立ては使えないと30兆円枠を外した訳だ。
しかし、それが有効な景気対策費になったのだろうか。なってやいない。この国家予算の枠組みでは、そういう弾力的なお金の使い方ができないのだ。
日本の赤字財政は世界でもトップクラスだ。ここを小泉さんは改革しなくてはいけない。改革とは一生に一度するかしないかの大仕事だ。家計に例えれば、根本から人生をやり直すために生き方を変えたり、職業を変えたり、家を売ってどこかに引っ越すような状況だ。そうしたいが、6千8百万円ものローンを抱えていたらとてもじゃないが、そんな大決断はできないでしょ。
国家も同じ。何か根本的な改革をしたいと思っても、こんなに借金があったら、にっちもさっちもいかない。思い切ったことや新世代のために世の中を変えるときこそ生甲斐も生まれるもの。それができないんだから、今の日本はつまらない国になってしまっている。どんなに収入が多くても、その使い道が決まっているところなんて、全く魅力はない。
国家の夢の実現には使えるお金が必要なのです。
2004年10月6日(水)
(注)一般会計歳出総額のうちの3割。総国家予算から国債費と地方交付税分を除いたものをここでは「国の予算」と言っている。
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参考サイト:
上記のサイトは財務省のサイト。このサイトでは【岸コラ】が述べた問題点を分かりやすく数字を示して問題提起をしている。財政再建は財務省にとっても大命題。さすが日本を代表する役所だけあって調査と対策には抜け目がない。しかし、どこかでいくら問題を提起しても誰も解決しないだろうと高をくくっているように見える。
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