アメリカにある「自由の女神」は世界遺産だ。世界遺産の指定を受けるには、その対象物を保有している国が国連のユネスコに申請をして、いろいろな審査を経て、「世界遺産委員会」が指定する。ニューヨークに自由の女神がないと様にならないから永遠に残して欲しいと日本人が訴えても、アメリカ合衆国が登録申請しないと、自由の女神は世界遺産にはならない。
つまり、自由の女神はアメリカとアメリカ国民にとって世界遺産にしたい大切な存在なのだ。自由の女神は、1876年のアメリカ独立100年祭を祝い、フランスが贈ったものだ。エッフェル塔を設計したフランスのエッフェルの考案したこの像は、フランス国民の募金により製作され、像が置かれる台座は、アメリカ側が寄付を募って建造した。これほどホットな関係を象徴している建造物があるだろうか。
アメリカの独立にフランスは深くかかわった。そのかかわり方はこうだ。
イギリスがアメリカの東海岸一帯に13の植民地を建設した。入植者と現地先住民との間にはいさかいが起こったためイギリス本国は、1万の兵を駐屯させた。駐屯には大変な費用がかかるので、植民地でのみ印紙税を課し、その税収を駐屯費に当てた。
ところが、それは差別的だと植民地の議会が反発し本国並みの扱いを求めたところ、本国が許さなかったため、アメリカへの入植者たちはイギリス本国からの品物を買わない運動を起こした。イギリス国内の商人がこれでは商売にならないので、政府に圧力をかけ印紙税を廃止させた。
しかし今度は本国は関税を強化したため、植民地の自主性が失われたと抗議し、市民が立ち上がった。これをイギリス軍が押さえにかかったのが戦争の始まりだった。1770年のことだった。
戦闘はだんだんエスカレートした。1776年6月のニュージャージーに到着したイギリス本国軍は、総勢3万2千。その中にはドイツ人の傭兵もいた。これを迎え撃つ植民地軍は2万。植民地軍は劣勢が続いた。ただ、イギリス本国のジョージ3世には忠誠を抱く人が多く、独立を希望する人は少なかった。大英帝国の領地である感覚の方が入植者達にはしっくりきていた。
ところが、トマス・ペインが「コモン・センス」という本を出版し、その中で「イギリスは植民地の繁栄に寄与していない」と独立を支持すると世論が高揚し、ついに13植民地は独立を宣言したのだった。これが1776年7月4日だった。
だが、その後アメリカ軍の劣勢は続いた。しょせん、軍事的には世界に冠たるイギリス軍に勝てるわけがなかった。敗戦と新国家の崩壊は目前だった。アメリカ軍は衰弱し3千。
ところが、ワシントン率いるアメリカ軍はイギリス軍のドイツ傭兵900を捕虜にし、本隊を撃破し出した。この兵力でこの勢いを見たフランス軍が勝てると踏んで、アメリカ軍に味方したのだった。フランス軍は海上を封鎖しイギリス軍を弱体化しようとしたが、イギリス軍には劣り後退。
そこに現れたのがスペインだった。スペインはフランス側に立ち形勢が一挙に逆転した。フランス海軍はスペインのイギリス領ジブラルタルを攻撃し、これを守ろうとイギリス海軍がアメリカの封鎖状態をおろそかにした隙にフランス海軍がアメリカ沖に進み決戦となった。米仏軍がイギリス軍をヨークタウンで包囲し、1781年イギリス軍は降伏した。
イギリス本国では反戦運動が起こり、ついにイギリス議会はアメリカの独立を承認する事になった。
アメリカの独立は、フランスの存在なくして語れないわけだ。なんで、フランスはアメリカの味方になったのだろう。
それには、イギリスに対する怨念があった。アメリカはイギリスの植民地だったわけだが、アメリカを植民地にしたかったのはイギリスばかりじゃなかった。実はフランスもアメリカに植民地を建設していた。
そこでフランスとイギリスは戦いになり、フランスが負けたのだった。フレンチ・インデアン戦争という悲惨な戦争で、イギリス正規軍と植民地軍が組み、これに対してフランス軍と先住民族インデアンが組んで戦った。
最初はフランス連合軍が優勢だったが、イギリス正規軍の優秀な将軍の作戦で、フランス軍最後の砦モントリオールで降伏させられた。1760年の事だった。
1763年のパリ条約でフランスは北アメリカの全領土を失った。それを1783年のパリ条約でアメリカの独立を承認させたのだ。20年間に及ぶ敵討ちがそこにはあった。
イラクの戦争では、フランスがドイツとともに戦争に反対し多くの国の支持を得た。一方、アメリカ、イギリスとスペインは戦争突入に走った。
「国際社会の動向を見て」と小泉さんが言っていたが、我々が言う「国際社会」という概念は、アメリカを中心にした国連がちらつく社会の事だ。
英米仏独西などの「国際社会」の概念は、恐らくアメリカの独立戦争以来の歴史観が入っている。すぐに過去を忘れる日本人でさえ、国際社会と言えば、戦後50年を引きずるアメリカ中心の関係を念頭に考えている。歴史が浅いゆえに歴史を大事にするアメリカ国民が、過去200年の事をベースに国際社会の概念を持っていても全く不思議じゃない。
参考サイト:
参考文献:
Microsoftエンカルタ総合大百科2003
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